研究情報

放射能除去装置の開発と実用化検討

研究者

メンバー(所属)研究テーマ(個別)役割
堀池 寛 (原子力技術応用工学科)中性子照射による高レベル放射性廃棄物の減容化検討研究代表者
砂川武義 (原子力技術応用工学科)アルゴンプラズマを用いた放射性物質の分離捕集検討
尾崎禎彦 (原子力技術応用工学科)原子炉シミュレータによる原子力発電所事故検討
西嶋茂宏 (原子力技術応用工学科)超電導磁石を用いた放射性物質の分離捕集検討
三島史人 (原子力技術応用工学科)超電導磁石を用いた放射性物質の分離捕集検討
新谷裕和 (原子力技術応用工学科)遠隔型機器制御システム構築の検討

予算

単位:千円

備品研究旅費報酬雑費郵便図書その他合計
H29348040500.550000829.55000
H300500010000001003306430
H3105000100000010006100

*H30以降は予定金額

研究スケジュール・内容:(平成29年度~平成31年度)

平成29年度

  • BWR条件での原子炉シミュレーションを実施する。
  • 遠隔操作システムのマスター側システムを設計し製作する。
  • 放射線総合医療研究所の中性子加速器を用いて、ゲル線量計の中性子とガンマ線の感度補正データを取得する。
  • 磁気分離のための磁場解析と流体解析を進める。
  • 5GHzプラズマ発生装置を作製しアルゴンプラズマを発生させ、高分解能分光器を用いてプラズマ温度の測定を行う。
  • EHD捕集装置の電場解析を行い、このデータを基に捕集装置を試作する。
  • プラズマを用いた分離捕集のための設計及び設計に要する核反応断面積の調査研究を継続する。
  • 液体金属リチウムと炭素シリコン系材料との共存性試験を実施する。これらを総合して核処理システムを中性子源ベースで構想し、凡その概念成立性を確認する。

平成30年度

  • PWRおよびBWR条件を包絡して過酷事故発生時での環境への最悪ケースでの放射性物質の放出量について検討する。
  • 遠隔操作システムのスレーブ側のマニピュレーター機器を整備しシステムとして完成させる。
  • 磁気分離のモックアップ機を試作し、実際の土壌で試験を行う。
  • プラズマ発生装置とEHD捕集装置を組み合わせた小型の装置を作製し、分離および捕集率を測定する。
  • 液体金属リチウムと各種材料の共存性試験を行い、サンプルを分析して実用機で採用可能な材料を探索する。またこれらを総合して概念設計案を作成する

最終年度

  • 原子炉シミュレータにより、過酷事故発生時での加圧型沸騰型を問わず原子炉格納容器外(周辺環境)への放射性物質の最悪ケースでの放出量の見積もりについて検討し評価する。
  • 遠隔操作システムを実際に様々な動作条件にて試運転して実用システムとしての課題を抽出すると共に、全体設計へ反映させる。
  • 磁気力による高速大量分離と捕集システムの概念の成立性検討として、福島県の低レベル汚染土壌からの放射性物質を高速大量回収するための磁気分離装置のパイロットプラントを設計しキーとなる一部を試作する
  • 大型のプラズマ分離捕集装置を作製する。
  • 強力中性子源による長半減期元素の核変換処理システムの概念設計を行い、プロジェクト全体のまとめとする。

年次目標

平成29年度

全体の開発項目
プロジェクト1 <分離回収技術の研究開発>
過酷事故を起こした原子力発電所での放射能分布を推定・計測し、現場から実際に放射化物を運び出す。また福島県の現状回復のために低レベル汚染土壌からの放射性物質の高速大量回収技術を研究開発する。

・シミュレータによる炉心から放射能の放出挙動の把握
    H28年度に東電福島事故と同型炉であるBWRプラントを対象にシミュレーション実験を実施した
    が今年度(H29年度)は福井県下に多数設置されているPWRプラントを対象としたシミュレーション
    実験を実施し、評価検討する。

・環境中に飛散した放射性物質の可視化のための要素技術開発
    昨年度に引き続きゲル線量計の研究開発を行う

・遠隔操作による放射性物質の除去と回収
    マスタースレーブ方式による実現を目指す。制御の対象となるスレーブ機器には既存品を仮使用して来
    年度の製作に備える。
 
・磁気力による放射能の高速分離
    低レベル汚染土壌からの放射性物質を分離・除去するために必要となる磁気力および高速大量処理を行
    うための処理量について検討する。その手段として磁場解析及び流体解析を用い、装置設計をするため
    の解析を行う。コールド実験によりその妥当性の確認を行う

・プラズマを利用した放射性物質の精密分離
    電気流体力学現象(Electro hydro dynamics)を利用した捕集装置を設計し作製する。
    プラズマ温度を高めるため、2GHz以上の高周波数帯(約5GHz)を利用したプラズマ発生装置を作製
    し、プラズマ挙動を観察する。

プロジェクト2 <核反応データの調査収集と検討>
長半減期の放射性同位体の放射性崩壊を外力によって早める物理素過程の探求とその核反応断面積の調査収集し、有効性を検討する。

・核反応断面積の収集と検討
    核断面積のデータについて文献調査と独法研究所での実地調査によって収集する。

・原子炉、高速炉、核融合炉、強力中性子源による核反応処理の核断面積をベースとした検討と評価
    核反応を起こす中性子のソースは、熱中性子炉、高速炉、加速器駆動炉、核融合炉、中性子源がある
    が、夫々中性子のスペクトルとフラックスが異なるため、これらへの処理対象物の装荷方法も含めてど
    のような性質の中性子が利用できそれによって何ができるのかを比較し検討する。

プロジェクト3 <核変換システムの概要検討と要素技術の研究開発>
プロジェクト1,2から演繹できる新規核反応処理の具体例を新型の強力中性子源として構想し、概念を検討すると共に、その概念成立性の要素技術となる液体金属リチウム取り扱い技術を検討し、特に重要である液体金属リチウムと軽元素系構造材(炭素系材料、炭化シリコン材)との共存性研究を進める。

プロジェクト4 <システム総合>
1~3の研究成果を組合せて環境中の放射性物質の生成放出から分離捕集と処理についての総合的な体系を構想検討する。

平成30年度

プロジェクト1 <分離回収技術の研究開発>
H28年度、H29年度実施のBWR、PWRプラント各々での過酷事故に対するシミュレーション実験結果から原子力発電所での過酷事故発生時での環境への最悪ケースでの放射性物質の放出量評価に関するシミュレーション実験の可能性と課題について検討する。

 遠隔操作によるスレーブ側のマニピュレーター機器を整備して、マスタースレーブ方式のシステムとして完成させる。

 磁気分離用に設計試作した装置のモックアップ(小規模のパイロットプラント)を製作し、現地(福島)の土壌もしくはそれを模擬した土壌を用いた処理試験を行い、装置の実用稼働に向けた課題の抽出と精査を行う。
 プラズマ発生装置とEHD捕集装置を組み合わせた小型試作機を開発し、分離及ぶ捕集率の定量化を行う。

プロジェクト2 <核反応データの調査収集と検討>
システム検討結果から必要な断面積データを再検証し、不足部分の調査収集する。

プロジェクト3 <核変換システムの概要検討と要素技術の研究開発>
 前年度に引き続きシステム概念の検討を進め、材料と高温溶融リチウムとの共存性試験を継続する。

プロジェクト4<システム総合>
1~3の研究成果を組合せて環境中の放射性物質の生成放出から分離捕集と処理についての総合的な体系を構想検討する。

最終年度

  • 原子炉シミュレータにより、BWR、PWRにおける過酷事故発生時での原子炉格納容器外(周辺環境)への放射性物質の最悪ケースでの放出量の見積もりについて検討し評価する。
  • マスタースレーブ方式による遠隔操作システムを実際に様々な動作条件にて試運転して実用システムとしての課題を抽出すると共に、全体設計へ反映させる。
  • 磁気力による高速大量分離と捕集システムの概念の成立性検討として、福島県の低レベル汚染土壌からの放射性物質を高速大量回収するための磁気分離装置のパイロットプラントを設計しキーとなる一部を試作する
  • 大型のプラズマ分離捕集装置を作製し、試作機を開発し、分離及ぶ捕集率の定量化を行う。
  • 強力中性子源による長半減期元素の核変換処理システムの概念設計を行い、中間まとめとする。

放射能除去装置