研究情報

農業活性化に向けた閉鎖型植物工場技術の開発

研究者

研究テーマ(個別)メンバー(所属)役割
1閉鎖型植物工場における光ファイバ分布計測技術の開発中道(E)代表者・事務局 分担
2閉鎖型植物工場における高付加価値植物(福井県伝統野菜)の栽培検討砂川(N)アドバイザ

予算

単位:千円

備品研究旅費報酬雑費郵便図書その他合計
H29753214000000967

研究スケジュール・内容:(平成29年度)

現在の閉鎖型植物工場における主な問題点は、①植物栽培にかかる電力コストが高い、②計測される栽培環境データが面ではなく点データであること、③簡易に育てることが出来るリーフレタス栽培が飽和しており、高付加価値の新たな種類の植物栽培検討が必要であるといったものが挙げられる。これらの中でも特に大きな問題が、栽培環境データが点計測しか出来ないことである。これにより栽培環境パラメータと植物育成の関係性抽出が困難となっており、植物工場企業が精密な制御システムによる電力コスト削減や特殊環境下での高付加価値植物の栽培に踏み切ることが出来ずにいる。本研究では、この問題点を解決することが期待出来る技術を調査・研究していく。また、農業試験所や最先端光ファイバ技術を有する企業との連携体制を整備していく。

中道・中尾

光ファイバの散乱光により、温度や物体にかかる歪みを精密に分布計測する技術が研究されている。センサ部が光ファイバとなることから、安価で場所を選ばず網目状に設置でき、測定データ処理にて各パラメータの3次元分布把握が可能である。これらの特長から植物生育環境あるいは植物自体の生育状態を計測しうる可能性がある。本研究では、まず、栽培環境を制御しやすい閉鎖型植物工場への適用をターゲットとし、本計測技術が栽培環境パラメータの精密計測に活用出来るかを検討する。

砂川

閉鎖型植物工場において利益を出すためには、個々の栽培スペースが小さく、販売時に廃棄する箇所が少ない植物種が好ましい。また、短期な栽培日数や高付加価値な植物種も求められている。しかしながら、福井の伝統野菜は「ナス」や「かぶら」等の果菜類植物がほとんどであり、薬用植物も含めて上記条件に合致しない。そこで、果菜類栽培時に難しいとされている種から苗までの育成を、光ファイバ分布計測かつ厳密な局所空間制御がおこなわれている閉鎖型植物工場で行い、伝統野菜等の苗を販売することで利益に繋げることができないかを検討する。


図:光ファイバ分布計測技術を取り入れた閉鎖型植物工場イメージ図

年次目標

中道・中尾

本年度は、植物生育外部環境パラメータ(温度・湿度・風速・水中栄養分等)や植物生育情報パラメータ(糖度・CO2等)の各々が変化した際に、どのような周波数シフトが起こるのか、リファレンス基礎データを取得して解析することを主な目的とする。また、既存の光ファイバのコーティング仕様では、目的とするデータの周波数シフトが起こらない可能性があることから、光ファイバのコーティング仕様についても検討していく。

砂川

伝統野菜栽培地区の農家の方に栽培環境条件のヒアリングを行ない、伝統野菜の苗の育成条件を調査する。