研究情報

宇宙をキーワードとした福井県の新しいブランド化の可能性

研究者

中城智之(代表者、電気電子工学科 教授)、内村雄二(建築土木工学科 教授)、段野聡子(経営情報学科 講師)

研究内容

 地方都市活性化においては,少子化による人口減を背景として,従来の拡大による成長追求からスマート・シュリンクへの転換が求められる中,地域間競争を生き残るための都市の個性化(=ブランド化)がより強く求められている。
 福井県では「県都デザイン戦略」において,福井市中心街から足羽山までの範囲を広義の市街地としてとらえ,「歴史」「都市構造・交通」「自然」の3点をキーワードとして県都福井市の活性化への取り組みが行われている。一方,福井県は古代には外国に対する日本の玄関口として機能し,文化・教育に対する意識が高い地域性を背景に,歴史的に宇宙への興味を抱いてきた土地柄でもある。近代以降では恒星分光学で革新的な業績を収めた藤田良雄,素粒子論の南部陽一郎らを輩出し,宇宙飛行士・毛利衛のルーツの地としても知られ,宇宙天文との関連が深い特性を有する。
 現在,福井県内には,宇宙天文に関連する施設として,福井市自然史博物館・足羽山天文台,福井県自然保護センター天文台,福井県児童科学館,本学あわらキャンパス10mアンテナシステムがあり,28年度からは福井駅前ハピリン内に宇宙天文科学館セーレンプラネットがオープンした。加えて,本県ものつくりの伝統も背景とした福井県民衛星プロジェクトが始動しており,県工業技術センターに衛星開発拠点の整備が検討されている等,宇宙をキーワードとした拠点がより充実しつつある。
 このような状況は全国的に極めて特徴があり,全県的ブランディングファクターにおいて,また県都デザイン戦略の4つ目のキーワードとして,宇宙が福井県の新たな価値になり得る資質を有する。しかしながら,このような観点から戦略的に各素材を構成する動きは現時点で希薄である。本研究では,これら福井県が有する宇宙に関する素材を有機的に結合し,福井県のブランド化に役立てる戦略を提案することを目的とする。


宇宙をキーワードとした福井県の新しいブランド化