研究情報

福井工業大学学内特別研究費「地域適合型エコキャンパスシステム構築のための要素技術の研究」(平成25年度~平成27年度 )

1. 目的


化石燃料資源の枯渇や原子力エネルギーの見直しなどで再生可能エルギーへの転換が急務である。福井は、北陸地域に位置し太陽エネルギー受光に不向きなどのハンディはあるものの地下水、温泉熱、小水力、バイオマス、雨水、風力、下水汚泥などの自然エネルギーに恵まれている。これら福井における再生可能エネルギーの利用形態を模索し、福井地域に適合した各エコシステムの要素技術の研究とその制御・統合に向けた方法について検討を行うことを目的とする。また、本学のEVプロジェクトにおける成果を活用するとともにEVの自律走行や非接触給電、さらにはスマートハウスとの連携へと展開していく。

2. 背景・意義


エコキャンパス関連ではA工大が発電、蓄電、電気利用側のプロジェクト研究、B大学が地域、産業界と連携して経産省の実証プロジェクトとして取り組みを行っている。いずれも地域、産業界との連携を図っているが、前者は電気系エネルギー利用、後者は実証に重きをおいている。 本学の立地は、あわらキャンパスも含め、福井地域に特有の上述の再生可能エネルギーをキャンパス周辺で享受できるというメリットを有している。ゆえに、本クラスターにおける各研究は地域に適合したエコシステムを開発する上で他大学にない優位性がある。また、教育GPの採択を得て、特色ある実践教育、環境経営や環境経済を含めた文理融合教育を目指す。さらには、構築されたエコシステムの地域への公開、成果PRにおける広報活動を通じて本学のプレゼンスを高め、学簿に繋げていく。

3. 研究テーマ・メンバー

研究テーマメンバー(所属)役割
EMS、非接触給電、熱利用融雪中尾一成(E)研究代表者
高効率太陽光発電金江春植(E)共同研究者
小水力発電谷内真之助(D)共同研究者
雨水活用笠井利浩(K)共同研究者
局地環境計測・需要予測中城智之(E)共同研究者
バイオマス生成高島正信(A)共同研究者
センサーネットワーク鹿間敏弘(E)共同研究者
EVコンバート中山智了(M)共同研究者
小水力発電藤田輝雄(E)共同研究者
10EV自律走行西田好宏(E)共同研究者
11照明用無機EL素子の開発龍見雅美(E)オブザーバ
12エコデバイス材料の高感度分析法の開発田中智一(P)共同研究者
13色素増感太陽電池の開発原道寛(P)共同研究者
14エコデバイス用の材料開発廣瀬重雄(P)共同研究者
15エコデバイス材料作製のための装置開発砂川武義(N)共同研究者

4. 研究内容(最終年度までの各年度の実行内容)

(1) 高効率太陽光発電
日照の少ない北陸地域でも十分に経済性のある太陽光発電システムを開発。
太陽光追尾制御の方式の検討、実証比較による経済性評価、ウィンドプロファイラの局地気象情報等による発電量の予測方法を検討

(2) 小水力発電
小水力発電調査。雨水の建物高低差を利用した発電、DC蓄電とAC100V変換による電力削減効果の評価。

(3) 雨水活用・局地環境計測・需要予測
雨水活用装置を用いた都市型洪水緩和システムの装置開発とシミュレーションによる詳細評価。
豪雨の発生に関わる大気運動の実態をウィンドプロファイラで把握。
その情報を基に雨水貯水槽の弁開度を制御するシステムの装置開発

(4) EV自律走行・非接触給電
次世代モビリティ(ロボットカー)開発プラットホームを用いた交通事故・死者ゼロの自律走行検討やレンジファインダ等のセンサで周囲環境(車、人、障害物)の認識評価。
家庭電力、蓄電した電力からEVへ非接触給電できるシステムの検討

(5) バイオマス生成・燃焼発電・熱利用
キャンパスおよび地域内から発生する廃棄物系バイオマスを集約し、効率的にエネルギー・資源化する要素技を確立する。
また、,燃焼、熱利用コージェネシステムについての検討も行う。

(6) 地下水・温泉熱利用融雪システム
温泉熱水の温熱、地下水の冷熱を利用した福井地域に適合した省エネルギーかつ快適な冷暖房・融雪システムを提案。具体的には間接熱交換方式、水熱源ヒートポンプ方式の検討

5. クラスタ活動計画

  1. 打ち合わせ:毎月1回の会合もしくは作業進捗表の提出
  2. 成果:学会発表、展示会出展
  3. 情報交換・共有:ICT利用、エコキャンパスWGとの連動

予算

H25(予算)H26(予算)H27(予算)合計
研究費(千円)7,5867,7507,04022,376
その他(千円)3,0142,8503,5609,424
合計10,60010,60010,60031,800

7. 期待できる研究成果

  1. 産学連携:企業との共同研究推進
  2. 福井地域との連携:福井市・福井県との連携強化
  3. 社会貢献:システム見学会、講演会、サイエンスキャンプ等

8. 外部資金獲得計画

研究:文科省教育GP申請(幹事校)
事業:本部管財課と連携した文科省エコキャンパス推進事業申請、その他環境省、農水省、国交省などの国プロへの申請