創成科学

平成23年度創成科学Ⅱ 受賞者一覧

平成23年度創成科学Ⅱの受賞者が決定しました。
創成科学の受賞者は、レポートの査読やプレゼン発表などの選考を重ね、最終選考に残った学生の中から決定されます。平成23年度創成科学Ⅱでは最終選考に残った6人の中から、「創成科学優秀賞」が3名選ばれました。受賞した3名には、平成24年6月27日(水)教授会にて「平成23年度創成科学Ⅱ表彰式」が行われ、表彰状が授与されました。



受賞名学科氏名テーマ指導教員
優秀賞デザイン学科水野 絵理近年のキャラクターの傾向について吉野 剛 先生
優秀賞経営情報学科笠川 慎矢クイックソートの安定化松岡 博幸 先生
優秀賞原子力技術応用工学科畠山 巧指標生物の探索吉岡 滿夫 先生

受賞学生のコメント

水野さん
日本はキャラクター文化が盛んな国です。なぜキャラクターはこんなにも日本人に愛されるのだろう?といった疑問が生まれ、今回の研究に至りました。後期開講の創成科学Ⅱでは、近年のキャラクターの容姿について分析し、傾向を把握することを目的としました。そしてその傾向を福井工業大学のFUTマスコットキャラクター「チビラ」に当てはめて変換し、新しいキャラクターを制作しました。この研究で学んだことは、大衆の考えや好みをまとめることの大変さです。実際、キャラクターの容姿の分析よりも、分析するキャラクターを選んで行くことの方がとても大変でした。今回の研究を通して学んだことを生かしながら、卒業研究等にも力を入れて頑張りたいと思います。

笠川さん
創成科学Ⅰからの連続受賞ということになり、嬉しさと同時に驚きもありました。勉強、アルバイト、インターンシップなどいろいろと忙しい中でもこうやって優秀賞を受賞できたことは本当に嬉しく感じました。今回の研究では、日ごろの講義から、ふと思った疑問に対して自分なりに実験を行い、松岡先生や友人からのアドバイスを生かしながら、結果の分析や検証を繰り返していきました。その結果、自分なりの結論を導き出すことができました。また、これから創成科学を受講される方は、日ごろの講義で知ることができないことを深く知るチャンスなので、真剣に取り組むことでいい経験になると思います。

畠山さん
私は昨年の後期に、放射線環境モニタリングや指標生物について教えていただきました。今、日本中で多く測定されている試料はヨモギであることも、このときに知りました。そして、私はこのことを聞いたとき、ヨモギには大きな欠点があると思いました。そしてそれを補う、または、代替できる試料はないのかと考えました。またこのときに、私は福島第一原子力発電所事故による実家への放射能影響についても調査したいと考えていました。なので、まず実家の周りにある身近なもののことを考えました。その時に思い出したのが、庭に生えていた苔でした。苔は誰も測定したことのない試料で、未知なものでしたので、測定によりヨモギよりも良い結果が出たことに喜びを感じました。また、この研究が創成科学において優秀賞を頂けたのは、多くの方たちからのご教授の賜物によるものであることに感謝します。
 

指導教員のコメント

吉野先生
近年、ゆるカワ・きもカワと言われ、日本中にキャラクターが氾濫している。その成り立ちは、まちづくり、観光振興であったり、単なる商業主義的な企業キャラクターであったりと様々である。しかしながら、この流行は決して一時的なものではなく、漫画文化、キャラクター文化と言われるように、古くから成り立っているように思えます。本研究は、そのキャラクター達のカワイイに着目し、創成科学Ⅰで顔について研究、その完結編として容姿に着目した調査・研究である。デザイン学科の学生特性を利用してアンケート調査することにより対象キャラクター10体に絞り込み、そのおのおののキャラクターについて10項目の要因を調査、その共通項目に対し考察、最終項においてはその結果を用いて実験ならぬ実証(新チビラ)を試みるという、一連の流れは、調査研究し、仮説を立て、実験するという科学そのものであり、ともするとカワイイという曖昧な感性に対し一部客観性に欠けるものの科学的解明を創成したと高く評価いたしました。また選考委員の先生方には高い評価をしていただいたことを、指導教員として御礼申し上げます。

松岡先生
今回の研究では、効率の良いプログラムを見つけ出すため、クイックソートのソート時間の違いを見ていくことで、どのような方法が安定して速いプログラムになるのかを調べています。笠川君が工夫した点は、6つの異なるクイックソートを作成する際に、基準値の選択が異なるプログラムを、C言語でどのように作成していくかを考えていったことです。また、クイックソートの平均時間の有意差を統計的に求める際、最初にとった20回までのデータでは有意差が得られなかったので、それぞれのタイプのクイックソートの回数を増やすことにより再度実行し、有意さが得られるまで繰り返し検討を続けています。この研究では、本人の努力と日頃の学科の先生方のご指導が大きな影響を与えていると思います。私は、指導教員として、若干のアドバイスをしたに過ぎません。ネットで調べ、図書館で勉強し、家でも研究し、かなり積極的に取り組んでいました。レポートなど提出物の提出もいつも速めで、何事にも時間も守ることが出来ていました。他の学生がすべてこうである訳ではありません。少なくとも、創成科学Ⅱの自主研究では、笠川君は、素晴らしく見本となる学生であったといえます。

吉岡先生
平成23年3月11日に東日本大震災・大津波が発生し、それに起因して福島第一原子力発電所事故までに進展、多くの放射能が放出されるに至りました。発災地の福島県や一部周辺県では摂取・出荷制限基準値を超す放射性セシウム等が食品から直接検出されたほか、北陸を含む多くの都府県に大なり小なりの放射能影響が及んでいます。国・原子力安全委員会が定めた「環境放射線モニタリング指針」では、この放射能影響出現の程度を見るために、ヨモギ、松を代表例に指標生物のモニタリングを行うこととしています。畠山君の創成科学Ⅱ開始の契機は、「故郷や本学での影響出現の程度を知りたい」というものでしたが、測定器システムからの自動計算出力では多くはいわゆる検出限界以下であったため、放射線計測理論と統計的取扱いの理解の上で手計算算出に取組みました。開始時期が事故から半年後の秋であったため、ヨモギでは比較的高い濃度は現れず、他の試料を探した結果、草刈りされない苔(蘚苔類)に着目した点に独創性があり、また、岩やコンクリートの上にも生える植生等から「いつでも、どこでも」というニーズに答える汎用性がある選択だったと思われます。本学地域と比べ105倍も濃度差がある現地で植物選択の効果を追加確認したのも実証的で、また積極的・行動的だったと思います。多くの食品から直接高濃度で検出されたことから、今回は現地の野草等の測定結果はあまり大きな意味を持ちませんでしたが、際限なくモニタリングを行うのが困難な以上、何らかの比較基準を与える先行試料・環境試料が必要であり、これよりは規模の小さな影響の場合や今回でも遠隔地における影響の場合は、国等が示している環境モニタリングの実施方法に一石を投じ、意義ある方法・試料であり、提言ではないかと思われます。選考委員の先生方の高い評価をいただいたことを、指導教員として大変喜んでいます。この上は、「気付き」や「目の付けどころ」を大切にし、更なる進展を期待しています。