創成科学

平成22年度創成科学Ⅱ 受賞者一覧

平成22年度創成科学Ⅱの受賞者が決定しました。
全受講生425人のうち、レポートの査読やプレゼン発表などの選考を重ね、最終選考に残った7人の中から、「創成科学優秀賞」が2名選ばれました。受賞した2名には、平成23年6月22日教授会にて「平成22年度創成科学Ⅱ 表彰式」が行われ、表彰状が授与されました。



受賞名学科・専攻・コース氏名テーマ指導教員
優秀賞環境生命化学科平林 裕一郎食品原材料のDNA鑑定の有効性石黒 直哉 先生
優秀賞原子力技術応用工学科塚田 雄治生物とセシウム137の関係についての考察
(海水からのセシウム137の抽出)
高島 正信 先生

受賞学生のコメント

平林さん
DNA鑑定と言えば食品偽装の調査や犯罪捜査でおなじみですが、実際DNA鑑定がどのような仕組みで行われているかを知っている人は少ないと思います。そして誰もが持ち、本当は最も身近なもののDNAがどの様な仕組みで遺伝子情報を伝えているかもあまり一般的に知られていません。今実験はそんな近いようで遠いDNA鑑定についてテーマにしました。内容はお弁当屋などで原材料の表示がない白身魚のフライのDNA鑑定を行い原材料の特定を行うというものです。しかしそれだけでは学生実験と同じなので今回はDNA抽出を簡易的なもので行えるか試してみました。なぜここで簡易的な実験を行ったのかというと現在DNA鑑定は高価な試薬と大がかりな機器を用いるため行う人の負担は重く一般人ではとてもできないからです。その負担をわずかでも軽減するために今実験行いました。この先DNA鑑定も今のように時間もお金もかからず簡単にできる機器が出来ると思います。わずかですが、それに関わる研究に携われたことは大きな経験になったと思います。またこの実験の内容を見て、少しでもDNAについて興味を持っていただけたら幸いです。

塚田さん
私は、前期の創成科学でしいたけに含まれる放射能、後期で海水に含まれる放射能を求めるために放射線測定実験を行いました。放射能は、目に見えないほど小さいものですが、そこから放出される放射線を測定することで、微量な物質であるのにもかかわらずその物質の定性、定量が可能になります。測定試料をそのまま検出器に入れて測定できればいいのですが、測定効率などの問題により正確な測定はできません。放射能の定性、定量を行うには灰にして体積を小さくして測定したり、濃縮が必要になったります。今回の実験では、測定の分野の中の前処理を中心に行いました。これからも実験や勉強を続け、放射線測定の分野でこれからの原子力を支える人材になりたいです。
 

指導教員のコメント

石黒先生
最近よく耳にするDNA鑑定。これには、警察の科学捜査などだけでなく、インフルエンザウイルスの型の判定などの医療現場での利用、食品偽装問題などに絡む食品原材料の識別にも応用されています。
平林君は、これらの中で、食品原材料の識別に興味を持ち、白身魚のフライの原材料を特定することを本研究の課題としました。前者2つのような倫理的問題に配慮する必要もなく、良いテーマだと言えます。創成科学のテーマでもあり、時間もコストもかからない簡便な方法を選択していくために、既存のDNA抽出法の中から、簡便な方法を採用し、以後の実験に用いました。この方法は過去に行われていない方法でしたが、幸いにも奇麗な結果を得ることができました。実験機器の使い方などは初めに研究室の諸先輩の指導を受けましたが、それ以後は全て自身の力で行ったことは非常に評価でき、創成科学優秀賞に輝いたことは指導教員としても大変嬉しく思います。

高島先生
創成科学Ⅰで調べたきのこの放射能に関連する継続研究として、海水中のセシウム濃度を測定することによって水からの生物濃縮を評価したものである。機材の十分に揃わないなか、微量放射性物質を測定する簡易的な方法を工夫し、根気よく実験を遂行したところが高く評価される。また、レポートの構成、考察等が的確である。学生として学んでいる原子力・放射線という専門分野に対して興味・関心が高く、貪欲に吸収しようとする熱意と努力が感じられ、当学科の学生には見本となる研究であると思われる。最後に、本研究の全般にわたり、ご指導・ご協力をいただきました吉岡教授に感謝致します。