創成科学

平成21年度創成科学Ⅱ 受賞者一覧

平成21年度 創成科学Ⅱの受賞者が決定しました。
全受講生384人のうち、レポートの査読やプレゼン発表などの選考を重ね、最終選考に残った6人の中から、「創成科学優秀賞」が2名、「創成科学努力賞」が1名、それぞれ選ばれました。
受賞した3名には、平成22年6月23日、教授会にて「平成21年度 創成科学 表彰式」が行なわれ、表彰状が渡されました。


受賞名学科・専攻・コース氏名テーマ指導教員
優秀賞建設工学科
建築学専攻
今井 誠貴防災グッズのホームセンターでの品揃えと
被災地の声との比較
五十嵐 啓 先生
優秀賞経営情報学科
情報システムコース
山田 章太「EQ」について野村 康則 先生
努力賞機械工学科
ロボット開発コース
畑 佳揮空気抵抗の簡易実験藤井 博知 先生

受賞学生のコメント

今井さん
私は創成科学Ⅱにおいて防災グッズのホームセンターでの品揃えと被災地の声との比較というテーマで調査しました。この調査をする動機となったのは阪神淡路大震災、能登半島地震を私自身が身近に経験し事前に防災グッズで災害対策を行っておくことが重要だと感じ、また現在売られている防災グッズが本当に役立つものであるかも気になったからです。防災グッズを調査するにあたり、5店舗のホームセンターで防災グッズ売り場を調査し、各店舗の特徴、品揃えの特徴、販売スペースの広さを調べ、さらに「被災地の声」と各ホームセンターの品揃えを比較検討しました。
この調査により、災害の恐ろしさと共に防災グッズにより自らを守ることも重要であるということが伝われば大変嬉しく思います。

山田さん
IQに比べEQというものの存在を知っている人は少ないのではと思います。EQとは「心の知能指数」のことです。IQよりもEQが高い人の方が社会に出てから成功を納めているということを知り、今回の創成科学で「EQについて」深く調査しようと思いました。調査にあたり、様々な文献を読みました。そして、EQというものが学術的に用いられてからまだ20年ほどしか経っていないという事などを知りました。このまだ新しい概念は、将来すべての人達にとって、とても大切なものになるはずです。EQについて一人でも多くの人に知ってほしいと思いました。

畑さん
空気抵抗はとても身近にあるものですが大学に入るまでは詳しく学んだことがありませんでした。一度自分で実験をおこない確認してみたいのでこのテーマにしました。実験内容は風船の落下時間が質量によってどのように変化を調べるものです。このテーマを終えることで力学の難しさ、楽しさを再確認することができました。次に何かの実験を行う時には今回の経験を生かし、より上手に行えるようになりたいです。

指導教員のコメント

五十嵐先生
壊れない建物をつくることは、建築にとって非常に重要で且つ基本的な要求事項です。しかし、建物だけ頑丈にしても人命を守ることはできません。今井君は神戸と金沢で2度も大地震に遭遇した経験を持ち、地震災害に関して強い関心を持っていました。
本研究はこうした彼自身の経験から、地震災害に関する総務省の資料を利用して、ホームセンターでの防災グッズの販売状況と災害時の要求事項との差異を浮き彫りにしています。問題点への着目の仕方や条件整理もしっかり行われ、オリジナリティある調査方法の考案や何度も現場に足を運ぶ努力など、探究姿勢は他の学生の模範となるものでした。今回優秀賞に輝いたことは、指導教員として誠に喜ばしい思いです。

野村先生
今回「EQについて」研究したい、と学生から申し出があった時、まさか工学部の学生でEQについて知っている者がいようとは思いもしなかった。EQは日本でもその内容が知らされて10数年しか経っておらず、私も企業時代にEQについて研究し、前任の大学の講義で扱ったことがあっただけに驚いた。よく学生に聞くと、本人が中学時代に不登校を経験した、という体験があるからだ、とのことでこれは是非テーマとしてやって欲しい、と思った。研究内容についてはこれまで私が持っていた資料を学生に貸し、論文やPPTは学生が自ら作り上げたものである。二次審査の発表までに私の研究室で何度も発表練習をし、スーツまで新調し、優秀賞に選出された時は本人の喜びはこの上ないものであった。心理面で弱いところがあるだけに、先生方の前で発表がうまくいったことで、彼は一回り成長したように思える。本人の発表の中で、「どんな立派な技術や研究もそれを作り上げるのはヒトである」というところは心を打たれるものがあった。

小沢先生・藤井先生
本研究は「空気中を自然落下する物体の落下速度は物体の重さが増大すると速くなるという感覚的には周知な事実が一体どのような原理に基づいているのだろうか?」という素朴な疑問から始まったものである。実験内容は質量の異なる風船の落下時間が質量によってどのように変化するのかを調べるものであり、身近にある材料(風船、ガラス球、ストップウォッチ)を使用して実験を行っている。実験結果に対しては空気抵抗が落下時間に及ぼす大きな要因であると考え、理論的検討を加えて考察している。理論計算ではレイノルズ数の計算から乱流領域であることを検証し、その上で抗力係数が一定となる乱流領域における落下速度を求めている。実験結果と理論結果の比較を行い、両者が定性的に同様な特性となることを検証している。さらに実験の改良点についても指摘している。このように本研究はテーマに対して実験と理論の両面から検討したものである。学んでいなかった事柄についても自発的に学習し、問題解決に努めている。レポートの内容、発表・質疑応答とも優れたものであり、努力賞の栄誉に輝いたことは指導教員としても喜ばしいことである。