福井工業大学 Fukui University of Technology

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熱中時間

FUTの人たちの最高の
時間をインタビュー
FUTの人たちはなぜ熱中しているのか。熱中するものだけが感じられる最高の時間とは何か、に密着する。

No.20
建築生活環境学科 准教授
竹田 周平
theme:防災意識

国内外で大規模な地震が多発。2011年には甚大な被害をもたらした東日本大震災が発生した。さらに近年では、南海トラフを震源とする連動型の巨大地震の発生が懸念されている。残念ながら地震は避けられるものではないが、いざ起こった時に被害を最小限に抑えるために必要となってくるのが防災力だ。今、国内外の被災地を訪れ調査したデータをもとに効果的な防災対策の研究を行う建築生活環境学科の准教授・竹田周平の取り組みに注目が集まり、企業団体や学校、地域からの講演依頼が後を絶たない。「もし巨大地震が発生したらどんな事態になるのか。何が必要となるのか。それに備えるためにも、自身の防災力をアップさせてほしい」。そんな思いで活動を続ける竹田先生に、仕事にかける思いを聞いた。

今が防災対策の必要性を知ってもらうチャンス


東日本大震災以降人々の防災に対する意識は大きく変化し、竹田先生のもとには企業団体、学校から多くの講演依頼が舞い込んでいる。「これまでも講習会は行っていましたが、震災直後から件数が圧倒的に増え、参加する人の意識も高くなりましたね」。
講演会では、これまで情報収集してきたデータをもとに巨大地震がもし発生したらどんな事態になるのか、どう行動すべきか、どこにどのように避難するのか、何が必要となるのかなど、企業や学校、地域、家族、個人それぞれに応じた防災力アップのための知識や情報を発信。つい忘れがちになる防災の大切さを私たちに気付かせてくれる。

「震災直後からいろんな分野の方から声をかけてもらうようになりました。みなさんの意識が高い時に対策を講じてもらうのが一番効果的です。まさに今がその時。このチャンスを逃したくないですね」と笑顔で話す。

幅広い防災対策の必要性を痛感


竹田先生は、もともと橋梁など土木構造物の耐震・免震化整備に向けた研究が専門。橋の構造を決める上で地震の力は支配的だ。その地震や被害の原因を探るうちに、より広い視野が求められるようになっていた。そんな矢先、スマトラ島沖地震が発生し、大津波でインド洋周辺国に大きな打撃をもたらした。「このような大津波が押し寄せてきたら日本は大丈夫だろうかと様々な研究グループが関心を持ち始めるようになりました。私たちの専門分野からも何かアプローチできないかということで津波に関する本格的研究調査が始まったのです」。以来、国内外で地震が発生すると、被害のレベルに応じて公式調査団とし現地へ入り、被害状況を調査、その結果をもとに分析・対策を講じる等、耐震・免震という限られた分野を飛び越えた幅広い防災対策への取り組みに広がっていった。


2011年2月22日。ニュージーランドのクライストチャーチで強い地震が発生。公式調査団としてニュージーランドに向かおうとしていた矢先の3月11日午後2時過ぎ、東北地方太平洋沖で地震が発生した。3月11日午後2時過ぎだった。間もなくテレビからは巨大津波が東北地方と関東地方の太平洋沿岸部をのみこんでいく様子が映し出された。
「まさか、こんな大きな津波が我々が生きている間に起こるなんて…」。想像を絶する様子に、声を発することができないほどだった。

時間を経るごとに甚大な被害であることが明らかになり、ニュージーランド行はそのまま東北行へと変更。新幹線や空港など主要な交通手段はストップ、現地へ向かうための交通手段の情報が交錯する中、日本海側から車で北上するルートだけは行けそうだと判断し、まずは山形へと向かった。

沿岸300kmにも及ぶ大規模被害に衝撃


普通、津波被害の現場を目の当たりにすると物が食べられなくなったり、病気になるほどのショックを受ける人が多いという。 「たまたま私は専門で、悲惨な状況の写真や映像を見てきており、ある程度の免疫ができているはずでした。しかし、今回はあまりにもスケールが大きすぎた。特定の地域だけではなく、沿岸の300kmにも及ぶエリアが全部似たような被害を受けていた。こんなにひどいことが現実に起こったことに衝撃を受けました」。

しかし動揺している時間はない。震災直後は、すぐにでもチェックしておかなければいけないところが山ほどある。「まずは国道。人命救助や緊急物資の運搬、災害支援のために重機を通さなければならず、いち早く復旧作業が行われる可能性が高い道路です。今回は津波が押し寄せ、多くの橋が流された。復旧のために、違う箇所に道路を作ったりすると、壊れた橋の状況や原因を分析することが困難になる。原因を追究することで初めて効果的な対策がとれるので、被害直後に重要な個所を記録しておくことが大切なのです」。
しかし今回は被害エリアが広すぎたため、特徴的な被害をおさえるのが精いっぱいだった。

効果的な病院防災のシステム作りへ


これまでの国内外および東日本大震災での調査結果を踏まえ、今、竹田先生が特に力を注いでいる防災対策が二つある。まず一つが、病院の防災だ。
東日本大震災では多くの病院が被害を受けたが、実は、病院の被害は今に始まったことではない。
「過去の経験を生かして防災対策をとっているように見えるけど、ある程度の大きさの地震が来るたびに、それなりの病院被害が出てしまうのが不思議なところ。というのも、実は、日本の病院はものすごく忙しい。その状況の中で、来るか来ないかわからない防災対策に二の足を踏んでしまうのです。それにもう一つ。病院ならではの揺れ方があり、被害が拡大しているということ。それは病院内のモノが動いてしまうこと。病院内のベッド、ワゴン、機器類など病院内にはローラーが付いたものが多く、病院としては便利な造りになっているが、震災時にはそれらが動くことで防災上では危険なものになってしまう。そこに盲点があるのです」。
そこで竹田先生が着手したのが、看護師や病院機器を製造するメーカーへのヒアリング。そしてローラー付の機器類を簡単に固定するなど日常の医療活動に支障を及ぼさない、効果的な防災システム作りだ。病院防災への課題が一つ判明したことで、ようやく新たな防災対策が進み始めた。

防災教育の継続が生存率アップにつながる


もう一つが、防災教育の継続だ。
緊急事態の時、どこに、どうやって避難しなければいけないのか、果たしてどれくらいの人が知っているだろうか。今回、高台などの避難所に的確に早く逃げた人は、高い確率で生存しているが、「自分だけは大丈夫」と思って避難していない人はかなりの割合で被害にあっている。さらに調査の結果、訓練をしていないといざという時には避難に間に合わず被害にあう確率が高いことがわかっているという。
「今回、小・中学校を通して継続的に防災教育を行ってきたことで、非常に高い生存率につながった地域があります。釜石市です。小学校から防災教育を受けていた中学生が自分の判断で周囲の小学生に声をかけ、安全な場所への避難を手助けした。体力もあり、知識もある中学生が率先して地域全体の避難を手助けしたのです。地元の人も子どものことは心配だが、きちんと防災教育を続けてきたのだから子どもたちも多分逃げているだろう、だから自分たちもとりあえず逃げなければ、という意識を持っていた。そこが助かった大きな要因になっていたようです。改めて、防災教育の継続の重要性を感じさせられました」。こうした成功事例を伝えながら、県内外の学校を訪れ避難訓練の立ち会い、防災授業の継続に力を注いでいる。

今、私にできること

日本は地震大国。残念なことに避けられるものではない。地震とうまく付き合っていく以外、道はないのだ。そのために防災対策は必要不可欠である。
「避難所や病院の効果的なシステムの構築、災害に強い道、街づくり、津波対策など、様々な分野と恊働することで、国民が安心して暮らせるような基盤づくり、街づくりに取り組まなければいけない。これまでの事例を真摯に受け止め、それに対する最善の対策をどんどん取り入れていかなければ地震災害は少なくならないでしょう。個人レベルでの防災対策については情報収集を継続的に行うこと。残念なことに、人間って時間がたつと忘れちゃう。だから継続的に行うことで習慣にしてしまうのです」。

継続は力なり――。災害時の悲惨さを知っているからこそ、何よりも真剣に防災対策に真剣に取り組む竹田先生。これからもその強い想い、使命感は変わることはないだろう。

自分と家族にできること


最後に、竹田先生も実践している誰でも簡単にできる防災対策を教えてもらった。
一つ目が、家族や友人を含めお互いの安否情報を確認する方法を決めておくこと。今の人たちは何か起こって携帯が使えないとパニックになる。そうならないためにも、例えばアナログな方法ですが、学校の正面玄関に張り紙を貼るなど、安否情報を的確に伝えられる手法を決めておくこと。一か所ではなく二か所くらいに絞ってくといいですね。もう一つは、布団やベッドの近くにスリッパを用意しておくこと。日本は裸足の生活なので、食器やガラスが散乱していると逃げられなくなってしまう。スリッパがあれば、足にけがをしないで外に出たり、靴のところまで行くことができる。これが意外と重要なことなんですよ。他にもいろいろありますが、最低、この二つは実行してほしいですね。



学年学科名等は、取材時のものです。

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