熱中時間

FUTの人たちの最高の
時間をインタビュー
FUTの人たちはなぜ熱中しているのか。熱中するものだけが感じられる最高の時間とは何か、に密着する。

No.11
産業ビジネス学科1年
榎谷 美優
theme:女子サッカー

平成23年に行われたFIFA女子ワールドカップ ドイツでサッカー日本女子代表「なでしこジャパン」が優勝。世界一に輝いたことで、女子サッカー界は一躍脚光を浴びるようになった。そんな中、平成24年4月、福井工業大学に女子サッカー部が誕生。そこで第1期生として毎日ハードな練習に取り組んでいるのが、産業ビジネス学科1年の榎谷美優(えたにみゆ)さんだ。ポジションはMF(ミッドフィルダー)。正確なドリブルと鋭いパスが持ち味で、小柄ながらチームの司令塔としてプレーする。そんな彼女の目標が「インターカレッジに出場すること」だという。

福井工業大学女子サッカー部第1期生として奮闘


授業を終え、その足でまっすぐ向かうのが、車で20分ほどの距離にある“カール・マイヤーグラウンド”だ。野球場をはじめ、サッカー場、ラグビーやアメリカンフットボールができる多目的グラウンド、テニスコートを備えた金井学園の総合グラウンドの一角にナイター付きの女子サッカー専用ピッチがある。
4月に創立したばかりの福井工業大学女子サッカー部のメンバーは2名。福井工業大学附属福井高等学校女子サッカー部と合同で練習を行っている。
「福井高校女子サッカー部のレベルは高いですよ。毎年、北信越大会で優勝し、全国大会にも出場。大学との実力の違いはほとんどないですね。練習相手に不足はありません」。
練習は夜8時まで。暑かろうがどんなに雨が降ろうが、雷や警報が出ない限り練習が休みになることはない。「家に戻ると疲れてヘトヘト。正直しんどいですよ」というが、サッカーの話をする榎谷さんは実に楽しそうだ。

サッカーの強豪校でサッカー漬けの毎日


サッカーを始めたのは小学校3年生の時。地元の小学校のサッカーチームに所属していた兄の応援に行っていた時、「どうや、やってみるか」と監督に声をかけられたのがきっかけ。もともと体を動かすことが好きだったこともあり、気楽な気持ちで始めたサッカーだったが、すぐにそのおもしろさに夢中になった。「学校でも休み時間になると校庭に飛び出して、男の子とボールを蹴っていました。当時の遊び仲間はほとんどが男の子。サッカーしか興味がありませんでした」。

「サッカーを続けたい、もっと強くなりたい」と、京都でも指折りのサッカー強豪校である中高一貫校の京都精華女子中学校・高等学校に進学する。 中・高あわせて約60名もの部員がいる中で、正確なドリブルを武器にMFとしてメキメキと頭角をあらわし、ボランチまたはトップ下で活躍。在学中は全国女子高等学校女子サッカー選手権大会にも出場した。
「全国大会出場を決めた時は、最高に嬉しかった。全国大会出場を目標にみんなの心が一つになって、がんばって、がんばって、ようやく勝ち取った出場権。本当にサッカーをやっててよかったなって思いました」。

京都の学校へは、奈良の実家から毎日片道2時間かけての通学だった。毎朝始発の電車に飛び乗り、練習が終わり家に帰るのは夜の10時過ぎ。朝練の時は3時起床だ。サッカーで始まりサッカーで終わるサッカー漬けの毎日が6年間続いた。その原動力がサッカーへの情熱。
厳しい練習にも根をあげたことはない。「試合に負けて涙が出たことはありますが、練習を辛いと思ったことはありません。むしろ楽しくてしょうがなかったくらいです」。

サッカー生活から離れて知った情熱


高校3年になりサッカー部の引退が近づいてきた頃、将来について不安を感じ始めるようになる。「サッカーは好きだけど、この先続けても上にいけるのか、考えてしまった。当時はぼんやりと体育教師になりたいという夢もあったので、この先サッカーはあきらめて教師になるための学校に進むべきか」。一人で悩む日々…。

そして、サッカー部を引退して1カ月が過ぎた。サッカーとは無縁の初めての生活。
考えるのはサッカーのことだった。
「やっぱりサッカーが好きなんだって、気づかされました。サッカーしかない。続けたい」。
両親からは「後悔しないように、自分のやりたいようにしなさい」との言葉をかけてもらった。その言葉は彼女の心を後押ししてくれた。そう、プレーヤーとしてもう一度サッカーを続ける道を選んだのだ。
「後悔したくない」と決めたのは、福井工業大学への進学と女子サッカー部への入部だった。高校3年生の最後の大会で、見学に来ていた現・福井工業大学女子サッカー部監督の田本育代さんに声をかけてもらっていたのだ。
「田本監督から、新しく女子サッカー部を立ち上げるということを聞いていました。これまでのサッカー環境とは異なるゼロからの出発。でも、自分たちでイチからチームを作りあげるというのはめったにできる経験ではありません。これはやり遂げるしかないって、意欲が湧いてきました」。

目標は在学中インカレ出場!


創立1年目の女子サッカー部は、まさにゼロからのスタート。部員も2人のため、今年は高校生とともに福井県女子サッカーリーグに参戦中。今は、自分の技、技術を磨くことに集中している。そんな彼女の目標が「全日本女子サッカー選手権大会」への出場。「来年、再来年にはメンバーを集め、在学中には出場したい」と意気込む。

「榎谷さんは表に立ってガツガツいくタイプではないですが、見えないところで周りを引っ張っていくタイプ。1期生として、これからは表に立ってメンバーをぐいぐい引っ張っていってほしい。そうなればチームもまとまり、彼女自身もっとおもしろい選手になれるはず」と監督の田本さんの期待も大きい。

指導者として女子サッカーを盛り上げたい


「今は選手としてサッカーに夢中。でもいずれはサッカー部の指導者としてサッカー好きの子をもっと増やしていきたい」。
大学に入り、将来のビジョンをより明確にしたという榎谷さん。大学での授業にも積極的に取り組んでいる。
「サッカーが一日のほとんどを占めていた高校時代から生活が一変。今は、練習の時間も限られていますし、勉強などやるべきことも多い。すごく充実しています」。
サッカー、そして将来の目標に向かって、榎谷さんは今を一生懸命走っているのだ。



学年学科名等は、取材時のものです。