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チームで作り上げたロボットが「ROBO-ONE」で2位を獲得!

工学部 機械工学科2年

矢野上 利哉

2025年11月、「第8回工大サミット」が福井工業大学で開催され、学生交流イベントの一環で、人型ロボットの対戦競技「ROBO-ONE」が繰り広げられた。8校から19体が出場し、福井工大チームの「FUT-Arms.1」が2位を獲得。メンバーの矢野上利哉さんに、ロボット製作で重視したポイントや将来の抱負などを伺った。

大学ならではの授業や実習には、発見や感動が詰まっている


中学生の頃からプラモデルや電動機械を作るのが好きだった矢野上さん。飲食店の配膳ロボットなどを見たのをきっかけに、ロボットを作ってみたいと思うようになり、機械製作を学べる大学への進学を決心する。受験校をリサーチする中で福井工業大学を知り、オープンキャンパスに参加。「機械工学科は実習が多く、加工機械の操作やコンピューターのプログラミングなど内容も充実している点に惹かれました」と振り返る。

1~2年生の授業では、力学を中心に機械工学の基本的な知識や技術を学んできた。「力学の講義では、物体や機械などの動きから公式を導き出しました。高校で習った公式が、こんなに長い過程を経て導出されたことを知り、驚きました」。実習では、加工機械で金属を削る体験が興味深く刺激的だったとか。「機械だけでなく、やすりを使って手で削るなどいろんな加工法を学び、角が立っていた金属材料が精密できれいな球体になった時は感動し、面白いと思いました」。プログラミング実習では、日頃楽しんでいるゲームにも膨大なプログラムが使われていることに驚き、身近にあるさまざまな製品を新たな視点で見られるようになったそうだ。

大学の環境も学業への意欲を後押ししている。「親しみやすい先生ばかりで、授業でわからないことがあれば気軽に研究室に行って質問できますし、キャンパスが広過ぎず、どの先生のところへもすぐ行ける距離感がいいですね」と話す。また、機械設備を自由に使えることもスムーズな学習につながっている。

人型ロボットが対戦する「ROBO-ONE」にチームで参戦

工大サミットは、国際社会で活躍する理工系イノベーション人材の育成を目的に、全国9つのエ科系大学が資源を共有し連携して行なっている取り組みだ。2025年11月29日には、第8回工大サミットが福井工業大学で開催。「地域で輝く先進的理工系人材の育成」をテーマに、加盟9大学が参加し、学長や学生によるプレゼンテーションやディスカッションが行われた。


サミットと並行して開かれたのが、学生が製作した人型ロボットを対戦させ、トーナメント形式で優勝を決める「ROBO-ONE」だ。対戦用のリングは福井工業大学の教員が製作。当日リングを見た参加者から驚きと称賛の声が上がったとか。8校から19体のロボットが出場し、相手を腕で突いたり払ったりして転倒させるとプラス1点となり、3点先取した方が勝者となる。矢野上さんたち福井工業大学チーム5人は、「FUT-Arms.1」と「FUT-Arms.2」の2体を携えて参戦した。

製作は4月にスタート。市販の二足歩行ロボットキットをベースに、“勝つ”ための工夫を加えた機体を完成させ、動きを細部まで考えたプログラムを制作した。機体の加工に必要な部品は自分たちで設計し、3Dプリンターで作成。半年以上かけて、競技規定に沿った高さ約37㎝、両腕を開いたときの幅約60㎝の2体を作り上げた。

創意工夫を重ねたロボットが狙いどおりの力を発揮し、決勝進出!

矢野上さんたちが目指したのは、「バランスを重視した、倒れにくく、がっしりしたロボット」だった。部品を作る者、プログラミングを行う者などそれぞれの役割を決めるとともに、意見を出し合いながら作業を進行。腕のパーツをくり抜いて隙間を作り上体を軽くするなどの改良を行い、動かすためのプログラムを一から組み上げた。


製作期間の大半を費やしたのが、矢野上さんが先輩とともに担当したプログラミングだ。「スピードよりも安定性に重点を置き、どっしり構えて、相手が近づいてきたら猛攻撃で倒す。そういうプログラムをじっくり考えて作成しました」。攻撃するときの腕や体の動きは、自分たちで実際に体を動かし、バランスが良いと思った体勢をロボットが実行するようにプログラミングしたという。先輩の優れた技術に助けられる場面がありつつも、矢野上さんは、拳を突き出して相手を殴打するプログラムを作り上げた。「腕を押し出すだけだとバランスが崩れてしまうので、腰のひねりも加えました。当日、この動きを使って相手を倒すことができたときは本当にうれしかったです」。


ロボットを動かすコントローラーを握ったのは1年生のメンバー。巧みな操縦で、近づく相手を直ちに攻撃してダウンさせ、「FUT-Arms.1」は3勝して決勝に進出。芝浦工業大学の「ダイナマミス」に敗れたが、初出場で2位という好成績を収めた。「手探りでしたが、チーム全員で機体を完成させ決勝まで行けたのは本当によかった。来年の北海道大会では優勝を目指します」とにこやかに語ってくれた。

「ROBO-ONE」出場により、3Dプリンターで部品を作る方法などを習得し、プログラミングの技術が向上した。これらは今後の授業や研究に役立つスキルであり、今回の経験から得られた成果は大きい。また、競技終了後に開かれた交流会では、パーツの全てを工作機械で一から作った大学の話などを聞き、さらに刺激を受けたそうだ。


新しい製品や技術を開発するエンジニアを目指して前進


「将来は、人を助ける機械・器具や、新しい製品の製造技術を開発できるエンジニアになりたい」と話す矢野上さん。そのために現在は、科学技術に携わる技術者にとって最高位の国家資格である「技術士」の資格取得を直近の目標にしている。

福井工業大学は、2023年に「FUT未来ロボティクスセンター」を開設した。さまざまな社会問題の解決から宇宙開発まで、広く貢献できる最先端ロボットの研究開発と実践に取り組み、人材が減少している介護や農業分野で活躍するロボットの開発も進められている。研究テーマを検討する3年生への進級を前にした矢野上さんは「ロボティクスセンターが行っているような、幅広いところで人の役に立つものを作る研究もできたらと考えています」と話し、同センターの存在は、ものづくりの道を目指す学生の将来にも影響を与えそうだ。


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