FILE No.036

スポーツ健康科学部設置

産業ビジネス学科 教授

横谷 智久

 平成27年4月、開学50周年を迎える福井工業大学(FUT)は、これまで工学部のみの単科大学として発展してきたが、この節目に3学部8学科からなる工科系「総合大学」として新しくスタートする。
 今回新たに設置される学部の一つが、「スポーツ健康科学部」である。新しい歴史の1ページを作るべく、熱い思いで新学部の準備に取り組んできたのが、産業ビジネス学科の横谷智久教授だ。

福井県初!専門的スポーツ健康科学部の誕生


 福井県はいわずと知れた長寿県。しかし、長寿イコール健康とは限らない。医療費や介護費の問題など、長寿県ならではの課題もある。また、若者層に目を向けると、実は肥満者の割合が多いというのは、あまり知られていない。これから先も、健康寿命を延伸する長寿県として維持するには、健康増進や肥満対策に力を注ぐ必要がある。その対策の一つとして、個々にあった適切な指導に基づいて健康づくりができるかが、近年大きな課題となっている。

 「卒業後、いかに地域に貢献できるかに対して、スポーツの果たせる役割を考えた時、スポーツ・健康というテーマで、基本的な知識を習得、そして自分にあった専門的分野の知識を深めること、また、指導面では、多くの現場体験等を通じて、責任ある発言や行動ができ、社会に役立つ人材を送り出すことが私たちの使命である」と新学部設置に自信をのぞかせ、熱く語る横谷教授。

新学部設立の責任の重さを痛感


あわらキャンパスに新体育館建設中

 現在、4月からのスタートに向けた最終的な準備や調整に追われている真っ最中。これまで様々な先生たちと協議しながら、カリキュラム編成やシラバスの作成などに多くの時間を費やしてきた。特に、教員の獲得には力を入れたという。「質の高い教育を受けて頂きたいですね。素晴らしい教授陣が揃った。他学科からも、スポーツ関連の研究実績を持った先生や情報処理・コンピュータを専門とする先生の参加も決まりました。もちろん、外部から新しい先生にも来てもらいます。このメンバーが力を合わせて、チームとして頑張っていきます。スタートはこれからです。」と、新しい出発に向けて意気込みをみせる。
 
 横谷先生は、永年、スポーツを通じた地域貢献に携わってきた元行政マン。「経験豊富なベテランの先生もいらっしゃる中で、新学部を引っ張っていくという大役を任され、責任の重さを痛感している。これからは、先輩方と最強のチームを結成し、学生をサポートしていきたい。」と話す姿からは、強い意志と謙虚な姿勢が垣間見れる。

工学系ならではの授業でステップアップ

 スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科の中には、スポーツを科学的な視点から捉え、スポーツ健康産業の分野で技術者として社会貢献できる専門家の育成を目指す「スポーツ産業コース」と、地域の人々の健康維持・増進、高齢者の生きがいにつながる生涯体育の分野や、中学、高等学校の教員としての学校体育で活躍できる人材育成を目指す「地域スポーツ指導者コース」の2コースが設けられる。
 
 ここでは、人間工学に基づいた工業大学ならではの授業も用意されている。「スポーツ科学に不可欠なコンピュータスキルを身に付けることが大切。例えば、身長・体重・体脂肪などと、運動能力との関係を明らかにするためには、パソコンを利用しデータ入力をした後、相関係数を導き出すなど、専門的なことは今後ますます必要とされ指導面において、とても役に立つ。また、イベント等を企画・立案・実行するための手法やマネジメント力を学べる授業、さらには、様々なスポーツをバックアップするプロジェクトに参加するなど、その力を身に付けてほしいですね」。


資格を取得し幅広い分野での活躍を期待


 スポーツ健康科学部の主な特徴が、中学、高等学校教諭第一種免許状(保健体育)が取得可能なこと。教員以外にも、教員免許を持っていると、行政のスポーツ課や消防、地域の民間スポーツクラブなどの採用枠が広がるメリットもある。
 さらに、2018年の福井国体、2020年の東京五輪を控える今、スポーツ指導者の採用枠を考えると、たいへん有利な資格といえるだろう。


 横谷先生がもう一つ強く薦めるのが、健康運動指導士、健康運動実践指導者などの資格取得だ。「通常長時間の講習会を受講した後、試験を受けて資格を得ることができるが、本学卒業と同時に受験資格を得ることのできるカリキュラムを用意し、次年度以降、認定校への登録申請を行っていく。この資格を持っていると、介護・福祉関連の施設等への就職の幅が大きく広がり、就職に有利になる。ぜひ、積極的に取得してほしい」と、アドバイスをする。

責任を持って学生を導いていく、それが私の天職


保育士を対象とした運動遊び講習会

 横谷先生の授業やゼミは、常に真剣そのもの。「学生と本音で対話すること」をモットーに、時にはやさしく、時には厳しい激がとぶ。
 これまで地域を回りながら健康寿命延伸のための講演会の開催や、幼児の認知能力向上のための運動遊びなどについて、保育士を対象として指導を行うなど、地域貢献活動や研究業務にも力を注いでいる。
 
福井工大は、これまで以上に社会から必要とされる大学(スポーツ健康科学部)にならなければならない。「福井工大に入りたい」という志願者が多いほど社会から必要とされる大学であることの証。


科研費を活用し幼児の認知機能を研究

 現在、新体育館を建設している「あわらキャンパス」は、明るく緑豊かな環境であり、快適な学生生活を過ごすことができる校舎である。
 このようなキャンパスに来て、「貴方の夢」を実現するため、私たちがお手伝いさせて頂きます。
 横谷先生は、今を、この先を見据えながら全力で歩み続けている。


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