熱中時間

FUTの人たちの最高の
時間をインタビュー
FUTの人たちはなぜ熱中しているのか。熱中するものだけが感じられる最高の時間とは何か、に密着する。

No.73
環境情報学部デザイン学科4年
元田 彩音
theme:2018サンテンショップデザインコンペ 審査員特別賞受賞

デザイン学科ではメガネやドライヤーなど身近にあるプロダクトデザインや、商品のパッケージやロゴマークから住宅やショップにいたる建築まで専門的に学べる多様な分野がある。これはただ単に制作するだけでなく、コンペティションへの出品も行い、外部への視野を広げる取り組みへとつながっている。その様々なデザインコンペの中で専門店のデザインで特別賞を受賞した学生が、元田彩音さんだ。まず何の専門店なのかというゼロから始まった彼女のデザイン提案を探ってみた。

ゼロからのスタート


1年後期になり建築系のコースへ進んだ元田さん。そこで生徒全員ある共通の課題を与えられる。それは福井駅前の決められた空き地に専門店を作るというものだ。まず何の販売をするお店なのか、それに対しどういう内観や外観のデザインをしていくのかを考えなければならない。元田さんはまず現場を見て、どのような場所がいいのか夢を膨らませたという。「立地的に駅前に近くて立ち寄りやすいので、県内だけでなく県外や海外の人に来てもらえるようなお店を作りたいと思いました」。そこで福井の魅力を発信できるものはないかと、福井のことや特産品について調べた。もともと石川県出身の元田さんは福井のことをじっくりリサーチするのも新鮮そのもの。様々なものを調べていく中で福井の高い共働き率から、働く女性を応援できる美容品関連のお店にしようと考えた。そこで彼女が目をつけたのが福井で作っている竹炭だった。

イメージを形に

竹炭は木炭よりも多孔質なため吸着力に高い効果があり、美容にも最適。これを石鹼やシャンプー、消臭剤などで販売展開するお店にできないかと考えたのだ。売るものが決まったことで、店舗の内観や外観のイメージも膨らんできた。竹をイメージさせるようなパイプみたいなもので重ねてみて、壁や仕切りにできないかと制作に取りかかった。まず縦に立てて並べてみるが、竹の雰囲気が伝わらずただの棒に見えてしまう。どうにかできないかと考えていた矢先、細かい竹の繊維を拡大している写真を見て閃いた。「断面にすることで、デザインできるかもしれないと思いました」。さらにパイプを横にした状態で切った断面に商品が置けて、ディズプレイにも映えることに気がついた。レイアウトをなんども試作し、色も高級感が出てかっこよく見えるように黒色に統一。お店の名前もkaguyaと決めた。「かぐや姫のかぐやですけど、調べてみると輝くという意味なので女性のお店にもぴったりだと感じました」。


さらなる改良を重ねて完成へ

そうして完成にこぎつけた模型とデザイン案だったが、1/100のスケールで制作したこともあり、ハリボテ感が否めなかった。今度は1/30のスケールにして、コンペティションに出せるように作り直すことにした。しかし、スケールが大きくなったことで新たな問題が発覚した。模型の壁として制作したパイプは黒いストロー。その物自体も大きくなったので、スケールに見合うストローを探すのが難航したのだ。様々なお店を渡り歩いたり、ネットで探したり。ようやく見つけたら今度はストローがなかなか切りにくいという課題も見つかり、1週間ほぼ寝ないで制作に没頭することもあった。そのような様々な課題を乗り越えて完成した模型は元田さんの自信作。「パイプを横にした断面に物を置くというのは自分でもよく思いついたなと感じます」。


選ばれた作品に歓喜

元田さんの制作した作品は学科内でも評判となり、福井の建築系の大学生が発表する場である合同講評会にも選ばれた。そして、ショップデザインをプロデュースする会社であるサンテンが主催するデザインコンペにも出品。見事、特別賞の西脇賞を受賞した。選んでくれたデザイン会社のデザイナーからもいい言葉がもらえたという。「考え方が良かったし、今実際に現場でやろうとしていることにも共感できたと言ってくれて嬉しかったです」。また、それとは別に課題もいただいた。販売する商品を実際に置くにはまだ足りないものがあるという指摘。これには元田さん自身も感じていたことだった。「実際に利用するという面でプロの方が仰ってくれたことで、自分の次への糧となりました」。


将来の夢へとつながる

このショップ制作とほぼ同時期に卒業制作である住宅のリノベーションの制作も進めていた。実は幼い頃に自身の子供部屋の壁紙を変える際にコーディネーターと話をしたことで、今学んでいる設計の門を叩いたという元田さん。「当初設計だけを考えていたんですが、この学科に入ってデザイン的な面で物事を見れるのが非常に良かったです。機能的な設計も印象を変えるデザインも両方考えることができました」と感慨深げに話す。コースに分かれてからも、プロダクトコースやメディアコースと一緒に考えて提案することことがあり、非常に刺激になったという。今後も設計に携わる仕事を就職先に選んだ元田さんは、「頼んでよかったと言われるデザイン、さらにお客さんの要望を上回る提案をしていきたい」と目を輝かせていた。




学年学科名等は、取材時のものです。