FILE No.034

海外語学研修

環境生命化学科2年

久保 葉月

新時代の人材育成に向け、福井工業大学では新しいカリキュラムがスタート。その一つが、話すチカラ、聴くチカラを重視した英語教育プログラム「SPEC」だ。ネイティブスピーカーの教員による英語コミュニケーション科目など、実践的な様々なカリキュラムが用意されている。海外語学研修もその一つ。今年の3月、イギリスでの短期語学研修を経験した環境生命化学科の久保葉月さんは、「英語で思いを上手に伝えられないことが何より辛かった」と研修を振り返る。話すチカラの大切さを痛感したのだ。帰国後は、すぐに英語への取り組みに変化が現れたという。

実は、学校で学ぶ英語がキライ


「私、英語がキライなんです」。
開口一番そう話す久保さんだが、実は小学校から中学3年までの9年間英語教室に通い、英語に親しむ生活を送っていたというから不思議だ。
英語に初めて触れたのは幼稚園の時。英語の授業があり、ゲーム感覚で遊びながら学んでいた。卒園後は、両親の勧めもあり近所にある英語教室に通い始める。最初は楽しかったレッスンだが、難易度がアップするにつれ次第に苦痛になってしまう。「小3の頃から徐々にわからないって思うようになりました。私はすごく負けず嫌いですから、難しいからできないといったことが嫌なんです。中学では、成績を落としたくないから仕方なく通っていました。でも英語のすべてがキライという訳ではないんです。音や響きは好きだし、外国の方と話をするのも好きなんですけどね」。
高校に進んでからも苦手意識は消えず、むしろ「学校英語」ギライがますます加速したという。

留学の理由は大好きな車を見たいから


そんな彼女が福井工業大学に入学し、短期語学研修行きを決めたのが、大学1年の夏。両親の強い勧めがきっかけだった。「両親はすごく英語教育に熱心。オーストラリアとかアジアへの留学を勧められましたが、私自身乗り気ではない。でも、大学の研修先がイギリスと聞いて心が動きました」。久保さんは大の車好き。いつかはヨーロッパでいろいろな車を見てみたいと思っていたのだ。「英語を学びに行くよりも、ただただ車を見たくて参加を決めました」と笑う。
こうして春休みを利用して2週間のイギリス語学研修に出かけることになった。海外旅行は初めて。学校の海外語学研修なら、宿泊先も語学学校も手配してくれるため安心だった。しかも、現地までは同じ工大生と一緒というのも心強い。不安は一切なかった。

イギリス一般家庭での生活がスタート


滞在先は、イギリス東部にあるウエストゲートという海に近い小さな街。ホームステイ先は、10歳の男の子と14歳の女の子と住むシングルマザーの3人暮らしのお宅だった。
初日は、テレビで『007』を放映しており、「それ知ってる」の久保さんの一言で一気に話が盛り上がり、いろんな映画について話が弾んだ。わからない時は、噛み砕いて話してもらう。そうするとなんとなく理解でき、たどたどしいながら会話することができた。「なんとかやっていけそう」と自信が持てた。

生活習慣の違いにカルチャーショック


イギリスの一般家庭に滞在し何よりも驚いたのが、生活習慣。「どんなに溜まっていても洗濯は週に1回!シャワーは温度設定がなくて、熱いお湯が出ない。ぬるま湯なんです」とカルチャーショックを受けることもしばしば。「食事も、はっきりいってあまりおいしくありませんでした。ホームステイ先は、野菜中心の食事。大皿に5~6種類の野菜を並べ、その上に様々なソースをかけて食べます。一度サーモンが出ましたが、日本で食べる方が断然おいしい。それで、塩焼きを教えてあげたんです。すごく好評で、うれしかったですね。私はナイフとフォークが苦手で、なんと初日の夕食に1時間もかかってしまったんですよ。箸を持参していたので、次の食事からは箸を使いました。すると子供たちが、本当に箸を使うんだねって感動しちゃって。使い方を教えてあげたりして、ずいぶん盛り上がりました」と振り返る。

国籍が異なるクラスメートとの交流が楽しみ

語学学校では上級者クラスになった。サウジアラビア、中国、スペイン、フランスと生徒の国籍は様々。日本人は久保さん一人。先生の話していることが一度で理解できない、英語でスムーズに出てこない。意味がわからないから質問すると、返ってくる英語がチンプンカンプン。伝えたいことがうまく伝えられず、もどかしい思いをした。
授業では苦労したが、毎日のクラスメートとのおしゃべりが彼女の息抜きになった。中でも同世代のスペインの女の子と、洋服の話やお互いの国のことについて話すのが楽しくてしょうがなかった。「おしゃべり」のおかげか、いつの頃からか簡単な日常会話なら、一度で聞き取れる程に上達していた。


チャレンジしてみる価値大


行く前までは興味がなかった海外語学研修。2週間という短い滞在ながら、彼女にとって得たものは大きかった。異なる文化、生活スタイル、考え方などすべてが初めて目にし、体験するものばかり。戸惑うこともあったが、楽しくって、刺激を受けることばかり。「海外の友達ができ、世界が広がった。英語が話せないとコミュニケーションがとれない。やはり英語は共通語だと肌で感じることができました。英語が少しだけ好きになりました。何より価値観や考え方が大きくかわったかもしれませんね。海外語学研修はチャレンジしてみる価値、あります!」と笑顔だ。


話せる英語を身につけたい


帰国後、変化が現れた。これまで日本の音楽にしか興味がなかったが、ホームステイ先やクラスメートと音楽の話をすることで、洋楽に興味を持つようになり、歌詞にも興味深々。また、大好きな洋画や海外ドラマも今では意識して英語を聞き取るよう心掛けている。「最初の30分くらいは集中できますが、残念ながら次第に映像に意識がいってしまうんですよね」。
海外語学研修を通じて、特に話すチカラが必要だということを痛感した。「しゃべれないこと、意志の疎通ができないことが一番くやしかった。言いたいことはいっぱいあるのに言えない。書けなくてもいい、話せるようになりたい」と決意を口にする。「英語カフェにはただおしゃべりしにいくだけでしたが、もっと積極的に活用しなくちゃもったいないですね。やろうと思えば、それに応えてくれる環境があるのがこの大学のいいところ。だって大学に8人ものネイティブの先生がいるんですから」。近いうちにTOEICにもトライしたいと話す。


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