熱中時間

FUTの人たちの最高の
時間をインタビュー
FUTの人たちはなぜ熱中しているのか。熱中するものだけが感じられる最高の時間とは何か、に密着する。

No.51
電気電子情報工学科3年
亀山 紅葉
theme:U21 ホッケー男子日本代表

今年6月に行われた『35回全日本大学ホッケー王座決定戦』では、北信越代表として出場し全国ベスト8。「ホッケー学生チャンピオン」を目指す福井工業大学の男子ホッケー部が、創部4年目にして初めてU-21日本代表選手を輩出する快挙を達成した。電気電子情報工学科3年の亀山紅葉さんが、公益社団法人日本ホッケー協会発表のU-21男子ホッケー日本代表選手に選出されたのだ。

ホッケーが生活の中心

亀山さんがホッケーを始めたのは小学校4年生のころ。まだまだマイナースポーツの印象が強いが、1964年の新潟国体の会場となって以来、ホッケーが盛んな地区で生まれ育った亀山さんにとっては身近なスポーツだった。ホッケーを始めるのはごく自然なことだったのだ。中学生ですでに180cmを超えた長身を生かし、中学校、高校ともにホッケー部で活躍した。1週間のうち6日間、朝も放課後も週末も練習に明け暮れ、当たり前のようにホッケー中心の生活を送ってきた。大学進学の際も、福井工業大学に進むことに迷いはなかった。父親が電気工事会社を営む亀山さんには、いつかは家業を手伝いたい思いもあり、大学では電気工学を学ぶことに決めていた。「まずはホッケーが続けられること。ホッケー部があって、電気工学が学べる大学が福井工業大学だったんです。」相手の攻撃を抑えるディフェンダーが亀山さんのポジション。大学でも1年目からレギュラーメンバーとして活躍した。


個人よりチーム力

大学に進んでもホッケー中心の生活は変わらないが、練習の内容には大きな違いがあった。高校までは個人の基本技術の練習が中心だったが、大学では組織的な戦術練習が中心となった。「個人のテクニックももちろんなんですが、何よりチームの戦術が重視されるんです。中学校や高校でも、基本的な戦術の練習はしていましたが、それでも個人プレーが中心。チームプレーというものをあまり理解してませんでしたね。」チームスタイルや戦術など、ホッケーとサッカーは大きく似ている。ホッケーもサッカーと同じ11人で行うスポーツで、ひとつのボールをめぐり計22人の選手がフィールドに入り乱れる。状況が常に変化する中、合図も出さずにパスを出しボールをつなぐ。高いレベルのホッケーでは個人の力以上にチームとしての力が問われるのだ。


生活をともにすることで培われる絆


今年6月に開かれた全日本大学ホッケー王座決定戦で全国ベスト8の好成績を残せたのも、調子が悪いメンバーがいれば改善点を互いに指摘し合い、勇気付け励まし合うなど、常にチーム内で切磋琢磨してきた結果だ。ホッケー部は原則全寮制で、約40人のメンバーが生活を共にする。厳しい練習中には、チーム内で意見が衝突し言い争いになることもあるが、練習後の寮での食事は、メンバー全員が安らぐ時間だ。笑い声が絶えず、貴重なコミュニケーションの場にもなっている。「ときには意見がぶつかることもありますが、あとを引くことはありません。何があっても、お腹がいっぱいになればいつの間にかみんな笑っていますよ。練習中はもちろん、普段の生活の中でのコミュニケーションのおかげですよね。」

自分を支えてくれる大きな存在


U-21男子ホッケー日本代表選出の連絡を受けたのは、今年の10月。一番喜んでくれたのは母親だった。「良かったね。良かったね。本当に良かったね。」と何度も言ってくれた。「半分くらいは代表に選ばれる自信もあったんです。だけど実際に選ばれるとやっぱり嬉しかったし、なんだかすごくホッとして、すぐに母親に電話で連絡したんです。」大学の講義と練習の毎日で、アルバイトをする時間はない。学費や寮費に加えて、部費や遠征費などの費用も両親に負担してもらいながらホッケーを続けている。「母親がお金の工面で苦労してるのは知ってるので、結果を出すことで恩返しをしたいと思うようにもなりました。母を喜ばせることができて、本当によかったです。」体調を崩したり怪我をした時は、いつも看てくれた。スランプになった時は励まし、勇気を与えてくれた。いつでもどんな時にも亀山さんを支えてくれる存在が母親なのだ。

競技の魅力を伝え盛り上げたい


ヨーロッパではサッカーと肩を並べる人気のスポーツだが、日本では競技人口も少なくまだまだマイナースポーツ。日本ホッケー協会にもなかなかスポンサーがつかず、活動資金に困窮しているのが現状だ。日本代表メンバーに選ばれたとしても、海外遠征費や活動費は自己負担で参加することになる。度重なる自己負担が重荷となり、代表を辞退する選手もいる。リオ五輪ではホッケー女子日本代表チーム「さくらジャパン」が活躍したことは嬉しいが、それ以上に男子日本代表チームが出場できなかったことが悔しい。「自分たちの世代が4年後の東京オリンピックに出場して、そして活躍することで、ホッケー競技がもっともっと盛り上がるようにしていきたいですね。」東京オリンピックを25歳で迎える亀山さん。「体力的にも精神的にも一番良い時期なので、主力として出場するためにこれから一年一年、自分をさらに鍛えて行きたいと思っています。」。まなざしは4年後を見つめていた。



学年学科名等は、取材時のものです。