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クラブ活動と両立しながら勉強に励み、教員採用試験に合格!

工学部 建築土木工学科 4年

森 勇人

子どもの頃から続けている剣道と、高校で学び始めた建築。それぞれの経験から自身の性格や適性を見出し、高校生のときに教員を志した森さん。建築土木工学科に入学し、剣道部の活動と両立しながら勉強を続け、教員採用試験に合格した。これらを通して学んだことや今後の目標などについてうかがった。

打ち込んできた剣道と建築の学びを基に教員を志す

小・中・高校と剣道を続け、現在は福井工業大学剣道部の主将として活躍する森さん。スポーツ推薦で入学した工業系の高校では、オープンハイスクールで最も興味を持った建築科へ進学。「ほとんど何も知らなかった建築のいろんなことが、学ぶに連れどんどん楽しくなりました。家族でお城や神社などを見に行くことがあるんですが、建築の勉強をしてからは、建築の歴史や技法などの視点から見るようになり、それを家族に教えるのも楽しいと感じるようになりました」。

森さんが教員になりたいと考えるようになったのは、「教えるのが楽しい」という気持ちを自覚するようになったからだ。「剣道を習っていた地域のスポーツクラブでも、年下の子に教えることが楽しかったです。そして、中学、高校と上がっていくうちに、この気持ちを仕事で一番体験できるのは教員だと思うようになりました」。さらに、高校で剣道の指導を受けた部活の顧問の先生と、建築のおもしろさを教えてもらった建築科の先生との出会いがあり、教員を目指すことを決めたという。剣道部の先生のアドバイスを受け福井工業大学を受験。スポーツ健康科学部に入り体育教員になるか、工学部に入り建築の教員になるかで迷い、先生や家族に相談した結果、工学部の建築土木工学科に進むことに決めたそうだ。

授業や演習で建築の知識を深め、関心を広げる


建築土木工学科に入った森さんは、建築コースを選択。構造力学、建築法規、製図など建築の基礎と、設計や測量などさまざまな専門科目を学び、知識と技術を習得する。その中で最も一番難しいと感じたのは設計の授業だという。「高校の製図は、でき上っている図を模写するものでしたが、大学では、何をどういうふうに描くか自分でプランを立てるところから求められました。全部自分で考えることにものすごく苦労したんですが、少しずつでき上っていく楽しさもあり、一番印象に残っています」。また、想像力を働かせるFUT実践学演習は新鮮だった。「正四面体を自分の好きなよう組み合わせ、自由に造形物を作る演習には驚きました。組み立てるという意識を持たせる演習だったと思いますが、頭を柔らかくして、自由に創造したりイメージしたりする力が自由設計に繋がるんだと思いました」。授業に前向きに取り組む森さんは、講義や実習の目的を理解し、建築の実務と創造性をしっかり身に付けている。

優先順位を考えながら勉強と部活を両立

剣道はもちろん大学でも継続。剣道部員として、また約50人の部員をまとめる主将として活躍し、2021年9月に開催された「第63回北信越学生剣道優勝大会」では団体戦優勝を成し遂げ、全日本大会への出場を決めている。練習は、平日は授業終了後、土曜日は午前中に行われ、平日の練習終了は夜8時頃のため、授業の課題に取り組む時間を作り出すのは難しい。そこで森さんが自然に身に付けたのが優先順位をつけることだった。「これを一番にやるべきとか、これはやらなくても何とかなるとか、そういう区別ができるようになったと思います」。

このように自分を律する姿勢が身に付いているのは、剣道を続けてきた影響が大きいようだ。「礼に始まって礼に終わるというように、剣道は礼儀をものすごく大事にします。また、技術だけでなく人間的に学ぶことがとても多いんです。小学生の頃から言われてきたことには、トイレのスリッパを揃えるなど日常の細かい習慣もあり、人として大切なことを身につけることができました」。規律正しい行動が当たり前のようにできることが、限られた時間の中で勉強と部活を両立できるベースになっているようだ。

教員採用試験に向けて猛勉強。合格通知に感激!

福井工業大学において、高等学校教諭一種免許(工業)を取得するには、教職課程の単位取得が必要である。森さんも国語・社会・数学・理科・英語の5教科と、教職に関する授業を受け、教育実習を受講している。そして、免許を取得した上で教員の職に就くには、各都道府県または政令指定都市が実施する教員採用試験に合格しなければならない。

出身地の富山県での受験を決めた森さんは、2021年夏に行われる選考検査に向け、同年1月に勉強を開始。試験内容は、1次が5教科・教職・工業の筆記検査と集団面接。2次は小論文、適性検査、個人面接、模擬授業である。試験対策については、教職支援室の先生に相談するとともに、富山県の試験事情について母校の先生の話も聞き、猛勉強の日々を送った。「剣道部の練習もあり大変でした。部活が終わって夜9時頃に帰宅し、食事や洗濯などの後に試験勉強です。11時くらいから始め、休憩をはさみながら深夜まで。朝4時、5時頃までやった日もあり、睡眠時間を補うために、日中の空き時間を見つけて眠るようにしていました」。

筆記検査が1番不安だったと話す森さん。筆記検査がある1次選考検査は7月中旬に行われ、8月中旬に結果が通知された。「合格の文字を目にしたときは信じられないほどでした。筆記試験は自信がなかったので、本当にうれしかったです」。続いて8月下旬に行われた2次検査は、大学や高校の先生にアドバイスを受けていたこともあり不安は少なかったそうだが、9月中旬に届いた合格通知を見てようやくほっとできたと話している。

これまでの経験を生かし、生徒から声をかけられる教員に


森さんが目指す教員像は、生徒が気軽に話かけることができる先生だ。「フレンドリーに接するのが一番自分の性格に合っていると思うので、自分から心を開いて行きます。剣道部の主将として、どうしたら安心して話しかけてもらえるだろうかと考えることがありますが、教員になってからもそういう気持ちを持ち続けたいと思います」。

また、森さんが感じているのは、今の自分があるのは、多くの人の支えがあったからこそという思いである。「ここまで来られたのは、大学に行かせてくれた家族、教員を目指すきっかけをくれた中学・高校の先生、大学の先生や友人、遡ればスポーツクラブで指導していただいた先生と先輩、すべての人たちのおかげです。皆さんに何らの形で、感謝の気持ちを伝え、恩返しすることを今後の目標の一つにしていきたいと考えています」。


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