熱中時間

FUTの人たちの最高の
時間をインタビュー
FUTの人たちはなぜ熱中しているのか。熱中するものだけが感じられる最高の時間とは何か、に密着する。

No.78
機械工学科3年
守谷 勇
theme:Ene1プロジェクト

『Ene1グランプリ』とはガソリンを一切使用せず、充電式単三電池40本を原動力とした次世代エネルギーカーイベント。場所はF1などが行われる鈴鹿サーキットで行われている。参加する競技車両は参加者自身が製作したオリジナル車両。それに運転手が1人乗り、コースタイムを競い合う。この魅力にとりつかれたのが、守谷勇さんだ。昨年からグランプリに参加しているこのプロジェクトにかける意気込みを聞いた。

電気自動車製作に魅了される

現在、Ene1グランプリのプロジェクトメンバーは電気電子工学科と機械工学科の学生13名で、新型車両の製作に取り組んでいる。そこでメンバーを束ねるのが責任者の守谷さん。大学1年生の頃からプロジェクト申請を進め、昨年プロジェクトが始動した。幼少の頃からミニ四駆などを製作するのが好きで、高校では電子技術部に入部。ものづくりに没頭するようになった。バイクのバッテリーを使い走行距離を競う『エコデンレース』全国大会出場や、ロボコンで県優勝を経験するなど、その技術を外に向けることで、より製作の熱が上がっていった。大学でも製作に携わろうと活動中のプロジェクトをいくつか見学した。「やっぱり電気自動車をもっとやりたい。高校でやっていたことよりも難しいことをやってみたいという気持ちが強かったです」という守谷さん。そこで自ら動き出し、Ene1グランプリへの挑戦を決意した。



エネ1グランプリに向けて試行錯誤

高校で出場した『エコデンレース』は自作のマシンを使い、バッテリー1個12Vで40分間の走行距離を競うレース。『Ene1グランプリ』は乾電池40本の電圧48Vで鈴鹿サーキット国際レーシングコースフルコース(5,807km)3周のタイムアタックレース。しかも道中はS字コーナーや高低差40mにも及ぶ世界屈指の難コースだ。コースの把握はもちろん、製作する車両設計や電池配分、当日レース時の運転手1名への指示など、考えることは多岐にわたる。プロジェクトの初期メンバーは5人。エコデンレースなどの経験を持つ守谷さんを中心に、オリジナル車両製作に励んだ。備品等が届くのが遅かったこともあり、製作期間は1か月。車両を担当の先生に見てもらい、溶接面での指摘を受けることもあった。機体のフレームにはアルミパイプを使っており、強度がない箇所をブロックで補強するという点だ。融点が違うものを溶接するという難しいことにも挑戦した。「溶接技術は格段に上がりましたね。製作過程で勉強になることが多く、やってよかったです」。


結果から学んだ次なる挑戦

そして迎えたレース本番。全部で102チームが鈴鹿サーキットに集った。事前に下見をして、走行中は運転手へ守谷さんが携帯でナビゲートする。そして、結果は総合で62位の成績。2ndアタックでは完走ができず、3周するまでに至らなかった。大会が終わると、すぐに戻って検証を行った。するとブレーキとギア部分での不調により、電池を無駄遣いしていることが原因だということが分かった。守谷さんの次なる挑戦が始まった。まずは昨年の車を元に設計図を作り直し、各車両のパーツの製作や発注を行う。設計図は休みの日でも眺めるぐらい熱心に取り組んだ。自宅に3Dプリンターを持っている守谷さんはCADデータを起こしてパーツも製作。今年は3Dプリンターでの製作物を車両に使用する予定だ。「やはり電池で走るのが面白いです。ソーラーカーとは違い、充電ができない中で挑戦する。そして走るコースはF1コースでエネルギーマネージメントを考えなければいけない。心が踊りますね」とEne1の魅力を語る。


思いついたことを形にできる喜び

他にも今年のEne1グランプリに出す車の改良点として、モーターをより大きいものにして、車輪をチェーンで駆動する物をギアで動く仕様に変え、駆動部分にも力を入れる。フレームも軽量パイプの太さを細くして、ハンドルの操作性も向上させる。さらに今年から1年生もプロジェクトに参加し、メンバーは昨年の倍に増えた。今は1年生を育てることにも熱心だという。「このプロジェクトを続けていくことも大事だと思うので、少しずつ教えていきたいです。それと共に車もバージョンアップさせます。やっぱり思いついたことを形にできるのが面白いですね」。目標は最低限3周を完走すること、そして順位をあげること。守谷さんのものづくりへの熱は冷めることはない。




学年学科名等は、取材時のものです。