FILE No.66

エディトリアルデザイン

大学院 社会システム学専攻 デザイン学コース 博士前期2年

川堺 翔二

雑誌やカタログなどの誌面をデザイン的に美しく、かつ読みやすいものに編集するのが、エディトリアルデザイナーという仕事。大学在学中にデザイン学科の情報誌を一新し、さらに今年の5月に出版された書籍「だから、福井で働きたい。」のデザインを担当したのが、川堺翔二さんだ。その原動力とデザインについて話を聞いた。

様々なジャンルを経てエディトリアルデザインへ


もともと高校で住環境分野というインテリアを学ぶコースにいて、デザインを学びたいと考えていた川堺さん。福井工業大学在学中に、住環境、プロダクト(工業デザイン)、そしてグラフィックと様々な勉強をしてきた。そこで出会ったのが、デザイン学科が年に1度発行する「REVIEW」だ。これは、学生作品と共にデザイン学科の活動を紹介する学内情報誌。それまでは大学の先生が主体で制作していたが、学生が主体的に取り組み、コンテンツやデザインを一から見直すことになった。そこで、当時グラフィックを専攻していた川堺さんが所属する研究室に白羽の矢が立ったのだ。

イメージ以上の仕上がりを目指して

川堺さんが担当したのは、文章や写真、研究図表などの情報を選別し、誌面全体の構成を考えるエディトリアルデザイン。 全体の構成を考える上で、誰に向けての本なのか、これからのREVIEW にはどの情報が必要なのかを改めて考え直すことにした。手に取ってくれる人に、デザイン学科の専門分野をどう楽しく分かりやすく伝えることができるかを常に意識して制作した。さらに、REVIEW 制作の醍醐味はチームで制作したことだという。「REVIEW はゼミの活動なので皆が参加します。なので、皆で意見を言い合ったり、切磋琢磨しながら作ることが何よりも楽しかったです」。完成した冊子は研究室のみんなが大満足の仕上がりとなった。


徐々に本を作る楽しさに没頭

「最初は何もない真っさらなんですけど、どんどん制作を進めるうちに、本になっていく。これまでに経験のない充実感がありましたね」とすっかり本作りの虜になった川堺さん。卒業後、大学院に進んでも本作りの興味は冷めなかった。次に取りかかったのは年に3回発行されるデザイン学科の情報誌。これも新聞サイズの大きさから読みやすいA5サイズに変更した。対象はこれから入学を考えている高校生に向けたもので、デザイン学科の活動が分かりやすい構成を意識して作成。表紙の写真も自らが撮影。これは「かっこいい!でもどこかで見たことある」といった日ごろの気づきをテーマに撮影したものだ。



デザインを担当した本が出版


そんな中、県内大学等連携研究推進事業の研究の一環として、「福井で働くこと」をテーマにした本の制作が決定。デザイン学科の先生から、学生たちと共同で本を制作することを告げられ、これまでの経験を買われた川堺さんは、エディトリアルデザイナーとして関わることになったのだ。「福井工業大学を代表してデザインする一般書籍ということで、非常に興奮しました」。
ただ今まで作っていた単なる情報誌とは違い、今回は読み物。ページ数も今までの50ページを超える、倍以上の112ページとなる。ターゲットはこれから就職を考えている人。その人たちが求める内容や雰囲気、どうやったら読んでくれるかを常に考え、試行錯誤する毎日だった。
しかし、そのような苦労も厭わず、川堺さんの本制作への情熱が完成へと導いていった。「様々な人のインタビューの現場に赴いて、写真撮影して、話を聞く中で、こういうふうに本を作ったほうがいいのでは、というイメージづくりもできた。それはすごく楽しかったです」。


挑戦が成長につながる


本を作ることが何よりも喜びとなり、作る楽しさを学ぶことができた。さらに自らの成長も感じている日々だという。
「後輩や友達と雑誌を持ち寄って、これは見せ方が上手い、この情報はこんな風にしたほうが見やすいなとか、話し合うようになった。また、それを取り入れて自分で解釈して新しいものをつくる。雑誌を見るのはすごい勉強になります。本制作に携わってから、作り手の視点として見るようになりました。」と目を輝かせる。
今は本に限らず、興味あることにはどんどんチャレンジしている。
「毎月DJをしたり、子供が好きなので児童館でバイトしたり。また建築事務所やデザイン事務所のバイト、他に東京でのインターンや他大学とのプロジェクトにも参加しました。後輩たちには、興味あることにはどんどん取り組んで欲しいです。その方が成長できるし、楽しいことへと繋がっていくと思います」。


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