FILE No.123

海外インターンシップで視野を広げ、将来に活かす

工学部 電気電子工学科(現:電気電子情報工学科) 3年 廣坂 海征
環境情報学部(現:環境学部) デザイン学科 3年 チョウ ミテイ

福井工業大学では、グローバルに活躍できる学生の育成を目指し、海外に事業所を持つ企業の協力を得て、他国で仕事や生活を体験する海外インターンシップを実施している。2023年夏、約2週間にわたり参加した工学部 電気電子工学科(現:電気電子情報工学科)の廣坂 海征さんと、環境情報学部(現:環境学部) デザイン学科のチョウ ミテイさんに体験を通して学んだことなどをうかがった。

工学部 電気電子工学科(現:電気電子情報工学科) 3年 廣坂 海征さん

ベトナムの新しい縫製工場で設備見学や作業を体験

プログラミングなど電気電子関係の知識や技術を習得


高校時代からパソコン操作やコンピューターのプログラミングに興味があった廣坂さん。「都会に比べゆったりしていて、住み慣れた地元の大学で勉強したい」と福井工業大学工学部電気電子工学科(現:電気電子情報工学科)へ進学し、電気が流れる仕組みやコンピューターの基礎知識から、無線やアンテナによる通信など幅広い勉強を続けている。自由にテーマを決めてプログラミングを行う実習では、テトリス系のゲームを制作。「プログラミングの勉強を始めたばかりの頃は難しくて四苦八苦していましたが、一つのゲームを自分で考えて作り、完成できたことがものすごくうれしかった。思い入れのある授業です」と振り返る。

最新の機械やシステムに驚き、ものづくりに奮闘


廣坂さんが、海外インターンシップへの参加を考えたのは、学科で学ぶ事以外の事を学べるチャンスだと考えたからだ。「これまで電気電子関係に絞って勉強してきたので、他の分野も見てみたいと思いました。さらに海外で新しい経験ができることにも期待がありました」。8月中旬、同行することになった機械工学科の仲間とともにベトナムに向けて出発。約2週間の体験の場は、大野市に本社を置く「株式会社松屋R&D」のベトナム工場だった。同社は、自動車のエアバッグやカーシート、血圧計のセンサー用腕帯などの開発、製造を手掛け、廣坂さんたちが訪れた工場では主にカーシートの縫製が行われていた。

「そこは、いくつかの工場が統合し、新しく完成したばかりの工場で、僕たちが訪問したのは稼働したばかりのタイミング。あいさつのときに『君たちが1番目のお客さんだよ』と言われ、光栄に思うと同時にものすごく緊張しました」と廣坂さん。このような状況で廣坂さんたちの体験は、カーシートを作るラインの流れを見学し、通訳を通して説明を聞くことが中心となった。「入荷した布を機械で裁断して、縫い合わせ、検査するという流れです。裁断と検査の一部は機械で行いますが、ミシンで縫製するのは従業員さんで、検査では人の目によるチェックも行われていました」。最新の設備に感心した廣坂さんがさらに興味を持ったのは出退勤管理システムだった。「個人の特定を指紋認証で行っていると聞き、日本より進んでいることに驚きました」。
 


予想外のものづくりも体験した。稼働間もない工場では備品などを準備中で、現地の従業員の説明を聞きながら3Dプリンターを設置する台を製作。「必要な材料を発注係の人に取り寄せてもらい、その後に大工仕事。大きさや作り方などを聞かないといけないんですが、最初は話しかけづらかったです。それでは先に進まないので、ベトナム語の意味をアプリで調べながら一生懸命質問し、だんだんわかるようになりました。考え込んでいると、『わかる?大丈夫?』ってフレンドリーに話しかけてくれて、日本に親しみを持ってくれているんだなと感じました」。就業後においしい料理を出す露店に連れて行ってくれるなど、非常に親切にしてもらったこともよい思い出になったそうだ。

ベトナムでの問題解決の経験が今後の糧に

今回のインターンシップで、言葉や文化の違いを乗り越え、現地の人々との交流も深めた廣坂さん。コミュニケーションが取りづらい中でやり遂げた台づくりの作業では、自ら考え動く積極性が生まれたと感じている。「自分で問題を解決していく、というこれまでできてなかった大きな経験ができたと思います」。卒業後は、プログラミングなどの知識や技術を活かし、企業や公共団体などの運営を支える業務システムの開発の仕事に携わりたいと話し、ベトナムでの経験は、今後、仕事のさまざまな場面で活かされるに違いない。

環境情報学部(現:環境学部) デザイン学科 3年 チョウ ミテイさん

タイの工場でレースの製造工程を体験

日本の伝統文様やゲームに関心を持ち日本へ


中国の遼寧省出身のチョウさんは、着物に描かれている花柄など日本の伝統文様や、アニメーションの作り方に関心を持ち、日本への留学を決意。5年前に来日し、福井市内にある日本語学校で日本語を学んだ後、福井工業大学環境情報学部(現:環境学部)デザイン学科に入学した。グラフィックやWebデザイン、映像制作などを学ぶメディアデザインコースを選択し、デザインソフトの使い方や、コンピュータープログラミングなどを身に付けている。「大学に入る前は使えなかったフォトショップやイラストレータを使えるようになり、プログラミングの実習では、簡単なゲームを作ることもできました」。

デザインからプリントまで、オリジナルのレースを製作


日本の伝統文様とともに、タイの寺院の屋根に見られる花文様にも興味があり、タイ語も勉強したかったと話すチョウさん。福井市に本社を置き、洋服やインナーウエアなどに用いる多種多様なレースを製造している『株式会社タケダレース』が、タイのバンコクにある工場でインターンシップの学生を受け入れていると知る。同社のレースは非常に繊細で美しく、チョウさんは特に可愛らしい模様のレースに惹かれたそうだ。そこで、このインターンシップに応募し、8月下旬から約2週間、デザイン学科のクラスメイトとともに参加することになった。
 


レースのデザインに対する関心が高かったチョウさんだが、滞在期間中にレースの全製造工程を見学し、パソコンを使ったデザインや色付けを体験した。「まず作りたいレースのデザインを考え、パソコンでデータ化しました。そのデータを基に、従業員さんが機械を使ってレースを製作してくださり、その様子を見学。出来上がった真っ白なレースのどこにどんな色を付けるかを自分で考えて色のデータを作成し、機械でプリントしました」。チョウさんが初めて作ったレースの模様は、虎の顔が並んだ柄と花柄の2種。さまざまな色が表現できるため、自分の好きな色を探すのも楽しい作業だ。模様は非常に細かく、色をのせる位置をきちんと合わせるのが難しかったとか。「細かい調整ができることを利用し、周りに自分の名前のイニシャルを小さく並べて、隠し柄のようにしました。完成したら予想以上にはっきり見えたので、とてもうれしかったです」。きれいな仕上がりに感激し喜ぶチョウさん。「非常に貴重な体験ができました。自分で作ったレースは宝物です」と話す表情は一段と輝いていた。

工場では常に通訳の人が付いており、現地の従業員の方の説明も理解しやすかったそうだ。「日本への留学経験があるタイ人の方でした。通訳さんも工場の皆さんもとても親切で、感謝しています」。工場の外では、タイ料理の辛さに驚いたり、海の色が福井と違うことに気づいたり。福井の海がとても青いと改めて実感したことも一つの発見だった。

“もの”のデザインにも関心が拡大

タイでのインターンシップを「自分にとって非常に意味のある体験だった」と感じているチョウさん。「メディアコースでの勉強はポスターやチラシなど情報を作ることが中心だったので、今回の経験で実際の物を作る経験ができ、ものすごく役に立ちました」。これを機に、将来は、自分のデザインが商品など具体的な形にできる企業への就職も視野に入れている。一方でゲーム制作への関心もあり「好きなこと、やりたいことがたくさんあって困るくらいです」と笑う。デザインの可能性をより深く追求するために大学院への進学も考えながら、今は卒業制作のテーマを検討中だ。


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