熱中時間

FUTの人たちの最高の
時間をインタビュー
FUTの人たちはなぜ熱中しているのか。熱中するものだけが感じられる最高の時間とは何か、に密着する。

No.85
環境情報学部経営情報学科4年
堀川 健斗
theme:新しいことに挑戦し続けた大学生活

theme:新しいことに挑戦し続けた大学生活

代表として鳥人間プロジェクトチームをまとめ上げ、情報技術への興味から高度な情報処理技術者の国家資格に挑み、さらに卒業研究のテーマではAR技術を用いた画像情報解析の研究と、常に何かに興味をもって前向きに取り組んできた堀川健斗さん。その4年間の大学生活を振り返る。

夢中になることから始めよう


高校では夢中になれるものが見つからず、大学進学を機に何か新しいことにチャレンジしたいと考えていた堀川さん。入学後すぐに大学内の様々なサークル活動を積極的に見学し、そのなかで一番に興味を覚えたのが『鳥人間プロジェクト』だった。「まるで子どもがプラモデルづくりに夢中になるように、先輩たちが機体の製作に取り組んでいる姿がとても印象に残りました。多くの仲間たちと協力してモノをつくることも自分にとって経験のないことで、面白そうだと感じて参加することにしました」と話す。在籍する経営情報学科での学びとは違った航空力学や材料力学などの工学的な知識を得るのも楽しく、週5日の活動日には必ず通いつめた。先輩たちからその熱意を買われ、加入してたった5か月でプロジェクトの代表に選ばれることになった。これまでは1年生が代表を務めることはなく異例のことだ。もともと人と話すのが得意ではなかった堀川さんが、20人近くが所属するチームの代表を務める不安は大きかった。「機体の製作過程も十分に理解しないままのスタートでしたし、知識も経験も豊富な先輩たちをまとめていくのは不安でしたが、自分の考えや意見が先輩たちに認められるたびに自信につながりましたね」。徐々にリーダーシップを発揮した。

チームで作り上げる楽しさ

2003年の発足以来、福井工業大学の鳥人間プロジェクトが挑戦を続けているのはコンテストの滑空機部門。自作した機体を助走10メートルかけて飛ばして飛行距離を競うもので、例年全国からの応募倍率は5倍以上。そのほとんどが図面と機体PRの書類選考で落とされてしまう。堀川さんがプロジェクトに参加したのはまさに書類選考での落選直後で、次年度に向けて機体をどう改良するか試行錯誤の時だった。
福井県内の大学や一般企業を含め、鳥人間コンテストに取り組んでいるのは福井工業大学のみ。そこで機体にインパクトをつけるために主翼と尾翼、そしてパイロットが乗るコックピットに『越前和紙』を使用して、福井県代表としての特色を出すことを考えた。これまでの素材のポリスチレンと比べ強度に不安があったが、飛行テストを何度も重ね改善を行うことで、実用レベルに強度を引き上げることに成功。そして翌年、越前和紙を使った機体の目新しさが評価され、書類審査を通過し本戦出場を果たす。「250mを目標に挑みましたが、助走が失敗し18.18メートルの記録になりました。結果は悔しかったですけど、仲間に出会え、力を合わせて1つのものを作り上げる楽しさを味わうことができました」。


情報の知識を培って次に進む


学科の学びでも前向きに取り組む熱意は変わらない。堀川さんは情報システムコースでプログラミングやネットワーク、情報セキュリティなどの技術を学ぶ傍ら、2年生のときには「基本情報技術者」という高度な情報処理技術者の国家資格取得に挑んだ。これはITエンジニアの登竜門と言われ、情報マネジメントやプログラミングの技術を今後のためにさらに身につけようと、自ら進んで行動に移した結果、合格することができた。
さらに3年生になり、卒業研究のために選んだのは画像情報処理技術の研究室だ。例えば、医療現場にあるX線CTやMRIなどは、体内の情報を画像化する画像診断装置。研究室では、このように実用化できる画像情報処理技術の研究に取り組んでいる。そこで堀川さんが研究の題材として注目したのが『AR(拡張現実)』だ。「鳥人間プロジェクトチームの後輩がARアプリを研究しているのを見て、自分もやってみたいと思い、すぐに先生に相談しました。ARはエンターテインメントとして扱われていることが多く、医療分野での研究をしている人がまだ多くありません。そこで研究テーマとして挑戦したい想いに駆られました」。


誰もやっていないことに挑む面白さ


先生と相談して決めた内容は『ナッツ類の画像識別』と『脳溝の抽出から3Dへの可視化』の2つ。ナッツ研究の目標はアーモンド・カシューナッツ・クルミ・ピーナッツの4種類を粒の形から識別してリアルタイムで画像表示させることだ。図形の複雑さを数値で表す円形度を用いて、カメラで撮影しているナッツの形から種類を識別、それぞれの物体の上に名前を表示させる。これは形状が似ている物体を瞬時に画像識別できる技術への応用が考えられる。また脳の3D可視化とは、平面に表示させた脳にある溝をアプリで認識させ、スマートフォン上に立体的に可視化させること。正常な脳との比較が容易にでき、病気の発見につながる技術となるものだ。
画像識別装置やアプリなど全てのシステムは自作しなければならなかったが、先生との相談を欠かさず、堀川さんの直向きに取り組む力で完成させることができた。「研究室内では初めての挑戦だったので、研究過程は大変でしたけど、成し遂げた後の達成感が何よりも楽しいですね」。



チャレンジ癖が定着する


「これまでの資格取得や卒業研究で得た情報の知識で、普段何気なくパソコンを使っていてもアプリやソフトが裏で行なっている作業が見えてくるようになりました」と少し自慢げに話す堀川さん。取り組んできた経験によって、情報処理の知識が格段に身についている実感が伺えた。卒業後は大学院に進み、卒業研究の内容をさらに深めることを考えている。現状ではナッツ同士が密着していると個々の識別が難しくなる。それを識別できるシステムにバージョンアップするのだという。「今は目の前の研究のことしか頭にないですが、もしかしたらARとは別の研究に取り組むかもしれませんし、同じ考えを持っている人に会って刺激になることもあるかもしれません。これからやりたいことが増えていくのが楽しみです。」
鳥人間プロジェクトチームの代表、資格取得、卒業研究と、興味が湧けば前向きに挑戦する姿勢がすっかりと身についたようだ。



学年学科名等は、取材時のものです。