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SYLLABUS

講義名
核燃料工学(3N)
ナンバリング
EN31-NF4-L-12
開講学部学科
工学部原子力技術応用工学科
開講学年
3年
開講期
後期
担当者
松浦 敬三
単位数
2
授業の目的
原子力発電と火力発電は、ともに燃料を燃焼させることで発生する熱を用いて発電を行っています。両者の大きな違いは、原子力発電では、核燃料物質の核分裂現象を利用して熱を発生させていることですが、核燃料物質のエネルギー密度は、石炭や石油に比べると非常に大きなものです。従って、核燃料を安全に用いるためには、核燃料の構成部材であるウランペレットやジルカロイ被覆管の基本物性や照射挙動について十分理解することと、精度よい原子炉内での核燃料のふるまいの予測手法及び設計の考え方を確立することが重要です。この授業では、これら核燃料の安全に関わる技術的概要について理解することを目的としています。また我が国のエネルギー政策の一つである核燃料サイクルや、福島第一原発事故の現状や核燃料の研究開発の今後について議論できるようになることも目的としています。(授業時間:90分x1時限x16回)
本授業は,対面授業とする.ただし,何らかの理由で対面での授業実施が困難となった際,オンライン授業となる場合がある.
科目に関するDP
(ディプロマポリシー)
特に重要
2
重要
1
望ましい
5
学修到達目標

1 原子炉型式とそれに用いられている核燃料の概要、特に現在、世界で最も多く運転されている軽水炉の燃料の特徴について説明できるようになる。

2 現在、軽水炉燃料の主流であるPWR燃料及びBWR燃料について使用条件、構造、その変遷について説明できるようになる。

3 軽水炉燃料のウランペレット、ジルカロイ被覆管の基礎的性質及び照射挙動について理解し、燃料の安全性、ふるまいの予測との関係について説明できるようになる。

4 軽水炉燃料の製造(ウランの精錬、転換、濃縮、再転換、加工)及び再処理について説明できるようになる。

5 シビアアクシデント時の燃料挙動を理解するとともに、福島第一原発の現状について説明できるようになる。

6 福島第一原発の事故を受けて今後核燃料の研究開発がどのような方向に進むべきか議論できるようになる。

関連科目
原子核反応学 材料科学、バックエンド工学
実務経験のある教員による授業
担当教員は原子燃料工業株式会社において軽水炉燃料設計・開発の経歴があり、その経験も踏まえて講義する。
評価方法
レポート:40%,通常試験(中間・期末):60%.
期日までに提出されたレポートについては,再提出後の得点を最終得点とする.期日後に提出されたレポートについては,再提出後の得点の50%を最終得点とする.
受講心得
多くの専門用語が出てきます。復習を必ず行い何を理解できなかったか、復習の際に気づいた疑問点など、次回授業の前に授業担当教員に必ず質問して理解すること。
関連リンク

授業計画

1 テーマ 核燃料の概要
内容
方法等
世界の原子炉の型式とその核燃料の概要について理解する。特に、最も多く運転されている軽水炉の燃料についてその特徴を理解する。また、我が国のエネルギー政策の一つでもある核燃料サイクルの概要について理解する。
事前
学修
世界の原子炉で使われる燃料について事前に調査する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正しておくこと 時間(分) 90
2 テーマ 軽水炉燃料の使用条件および変遷
内容
方法等
現在、軽水炉燃料の主流であるPWR燃料及びBWR燃料についてその使用条件、変遷について理解する。
事前
学修
PWR燃料及びBWR燃料の違いについて予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
3 テーマ 軽水炉燃料の構造及び機能
内容
方法等
PWR燃料及びBWR燃料の構造及びそれぞれの部材の機能について理解する。
事前
学修
PWR燃料及びBWR燃料の形状の違いを予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
4 テーマ 軽水炉燃料の基礎物性
内容
方法等
二酸化ウランやジルカロイの結晶構造や融点や熱伝導度など核燃料として重要な基礎物性を理解する。
事前
学修
結晶構造の基本について予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
5 テーマ ペレットの照射挙動(原因及び寸法及び熱物性の変化)
内容
方法等
ペレットが核分裂によって結晶構造や物性が影響を受ける理由及び照射挙動として生じる寸法変化や熱物性の変化等について理解する。
事前
学修
核分裂によって発生する核分裂生成物(FP:Fisson Product)について予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
6 テーマ ペレットの照射挙動(FPガス放出及び構造変化)
内容
方法等
ペレットの照射挙動としてFPガス放出や高燃焼度時に現れる特徴的な構造変化について理解する。
事前
学修
FPガスとなる元素について予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
7 テーマ 被覆管の照射挙動(寸法変化,腐食・水素化及びペレットとの相互作用)
内容
方法等
軽水炉燃料被覆管の材料であるジルカロイの照射挙動のうち、寸法変化,腐食・水素化及びペレットとの相互作用について理解する。
事前
学修
軽水炉燃料が照射によりどの程度変形するか予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
8 テーマ 前半の理解のまとめ
内容
方法等
前半の授業内容である燃料の基本的物性,照射挙動の知識についての理解を確認する.
事前
学修
前半の授業内容全体を復習する. 時間(分) 90
事後
学修
授業内容の理解で不足している点を復習する. 時間(分) 90
9 テーマ 軽水炉燃料のふるまい及びモデリング
内容
方法等
原子炉内での軽水炉燃料のふるまいを予測する手法及び個々の現象を予測するモデリングについて理解する。
事前
学修
今まで学習した物性と照射挙動に着目し何をモデル化しなければならないかを予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
10 テーマ 軽水炉燃料の設計
内容
方法等
軽水炉燃料が安全に運用されるための適切な設計基準及びそのための設計手法について理解する。
事前
学修
どのような環境で設計基準を定めなければならないかを予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
11 テーマ 軽水炉燃料の製造
内容
方法等
軽水炉燃料の製造工程として、ウランの精錬、転換、濃縮、再転換、ジルカロイの精錬、素管製造、被覆管加工そして燃料加工としてペレット、燃料棒及び燃料集合体の加工工程を理解する。
事前
学修
各人が着目した製造工程について予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
12 テーマ 軽水炉燃料の再処理
内容
方法等
現在、青森県六ケ所村において再処理工場の試運転、MOX燃料工場の建設が行われているが、我が国のエネルギー政策の一つである核燃料サイクルについて理解する。
事前
学修
再処理の試験運転で何が問題となっているかについて予習する 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
13 テーマ 過渡・事故及びシビアアクシデント時の燃料挙動
内容
方法等
過去に発生した過渡事象,事故そしてTMIや福島第一原発でのシビアアクシデント時の燃料挙動について理解する.
事前
学修
過渡・事故の定義と過去の事例,シビアアクシデントの定義と過去の事例について予習する. 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
14 テーマ 核燃料サイクルについて
内容
方法等
軽水炉燃料および高速炉燃料の核燃料サイクルの流れについて理解する.また,核燃料サイクルの現状の問題点について理解する.
事前
学修
核燃料サイクルの各工程,問題点について予習する. 時間(分) 90
事後
学修
講義の内容を復習して、講義ノートを点検修正する 時間(分) 90
15 テーマ 理解のまとめ核燃料サイクルについて(2)
内容
方法等
核燃料工学に関する授業全体の理解度を確認する.
事前
学修
核燃料工学に関する授業全体の復習を行う 時間(分) 90
事後
学修
理解度の確認において、自身が誤解していた点、知らなかった点を確認し、再度理解する。 時間(分) 90
16 テーマ 予備
内容
方法等
授業全体を通して補足説明が必要な場合に追加説明を行う.
事前
学修
教員の指示により指定された予習を行う. 時間(分) 90
事後
学修
追加説明の内容について理解できているか復習する. 時間(分) 90

教材・参考書

No. 分類 書籍名 著者名 出版社 価格 ISBN/ISSN
1 教材 なし
2 参考書 軽水炉燃料のふるまい(改訂第5版) 原子力安全研究協会 原子力安全研究協会 9,470円
3 参考書 フランス原子力庁 加圧水型炉、高速中性子炉の核燃料工学 フランス原子力庁 丸善プラネット 6,600円 978-4-86345-2