教育情報の公表
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WEBシラバス
SYLLABUS
- 講義名
- 放射線管理学演習(3N)
- ナンバリング
- EN31-RB4-L-22
- 開講学部学科
- 2023原子力技術‐放射線応用
- 開講学年
- 3年
- 開講期
- 前期
- 担当者
- 三島 史人
- 単位数
- 2
- 授業の目的
- 放射線を伴う原子力現場で働くには、環境管理、個人管理、緊急時の対応などの放射線管理技術が必要である。基礎演習として、線量の概念、放射線しゃへい、線量率計算、線源の種類と特性などの解説を行う。さらに工学演習として、工学的見地からも理解を深める学習を行う。工学的とは、物理現象を数学に変換することであり、それにより今まで学んだ数式やグラフを活用することで現象の全体像をつかむことも本授業の目的とする。
(時間数:90分×1時限×15回)
◆本授業は、対面授業とする。ただし何らかの理由で対面での授業実施が困難な状況となった際、オンライン授業となる場合がある。 - 科目に関するDP
(ディプロマポリシー) -
- 特に重要
- 1.2
- 重要
- 4
- 望ましい
- 4
- 学修到達目標
-
1 照射線量、吸収線量、等価線量、実効線量について理解する。
2 測定器による測定、線量等量について理解する。
3 環境放射線管理、環境放射能管理とその管理方法について理解する。
4 放射線防護の三原則、時間・距離・遮蔽について理解する。
5 密封線源、非密封線源の管理法、管理区域設定などについて理解する。
6 工学と数学の関係を認識し、現象を理解する。
- 関連科目
- 放射線基礎、放射線物理学、放射線生物学、放射線管理学
- 評価方法
- 学習状況(30%)、通常試験(70%)として評価する。
- 受講心得
- 予習により理解できないところは、受講中に教員に質問し、理解すること。理解を確認するため、復習を行うこと。(教科書は、初級放射線は第12版、13版でも可能。補足分は、授業資料を配布する。)
- 関連リンク
授業計画
1 | テーマ | はじめに | ||
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内容 方法等 |
【基礎・工学演習説明】工学リテラシーの重要性を議論する。工学では数学で表現することをするが、工学から数学へ変換することが重要となるが、その返還をここではリテラシー(翻訳)と呼んでいる。この翻訳を通して、今まで学んだ数式やグラフを活用することができることになる。この翻訳ができないことが工学を分からなくしている原因の一つであることを理解するとともに、工学と数学の関係を認識する。 | |||
事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 180 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
2 | テーマ | 【基礎演習】 放射線の単位とその概念(1) 【工学演習】 比例関係 |
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内容 方法等 |
【基礎演習】 吸収線量、等価線量、実効線量について演習する。 【工学演習】 簡単な比例関係を例にとり、現実の問題を数学に変換する練習を行う。 さらに数式をグラフに表し、グラフ上で議論することにより現象の全体像をつかむことの重要性を理解する。 |
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事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
3 | テーマ | 【基礎演習】 放射線の単位とその概念(2) 【工学演習】 反比例関係 |
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内容 方法等 |
【基礎演習】 防護量、実用量について演習する。 【工学演習】反比例関係(1/x)および1/x^2を例にとり、物理現象を数式に変換する。特に後者は点線源からのフラックスの問題であるが、一点から拡散する問題に共通する物理現象であることを理解する。 |
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事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
4 | テーマ | 【基礎演習】 線量率の計算(1) 【工学演習】 対数関数 |
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内容 方法等 |
【基礎演習】 距離、しゃへい、時間について演習する。 【工学演習】 音、明るさ、などの強度はdB表示で表されることがある。これは対数表示(常用対数)であるが、桁数が変化する場合に都合が良い。ここを理解し対数利用の利点を理解する。また対数の演算法を習得し、計算尺ではこれを利用していたことを知り、対数の演算法の特徴を理解する。一方、自然現象の変化も対数表示(自然対数)すると整理しやすくなる現象が多いが、この指数を扱う時に利用する対数について理解する。 |
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事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
5 | テーマ | 【基礎演習】 線量率の計算(2) 【工学演習】 指数関数 |
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内容 方法等 |
【基礎演習】 ガンマ線の線量計算および遮へい計算について演習する。 【工学演習】 指数関数は等比数列の変域を実数に拡大したものであることを理解し、物理的イメージを確立する。一方で、自然現象ではネピア数(e)を基底とする指数関数は多い。例えばRIの減衰、一次の化学反応、冷却法則など。それらの現象を理解するとともに指数関数のグラフを理解する。 |
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事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
6 | テーマ | 【基礎演習】 線量率の計算(3) 【工学演習】 片対数グラフ、両対数グラフ |
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内容 方法等 |
【基礎演習】 線量率の計算演習を行う。 【工学演習】 片対数グラフの意味を知り、指数関数が直線で表されることを理解する。その際、目盛は対数で示されているが、指数関数と対数関数の関係を理解する。 |
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事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
7 | テーマ | 【基礎演習】 密封線源の安全性 【工学演習】 三角関数 |
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内容 方法等 |
【基礎演習】 密封線源の等級と試験方法、密封線源の密封性の確認方法などについて演習する。 【工学演習】 周期的に変動する入出力あるいは、振動現象、周波数解析等に利用されている。これらを扱うためには三角関数で表示すると都合が良い。これらの事を目標として三角関数の特徴を理解する。 |
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事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
8 | テーマ | 【基礎演習】密封線源利用機器 【工学演習】 複素関数 |
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内容 方法等 |
【基礎演習】 密封線源利用機器で用いている放射線の特性について演習する。 【工学演習】 周期的な入力が働くとき、その出力は位相がずれることが多いが、これを複素平面で表示すると直感的に理解できる。この複素平面での扱いについて理解する。 |
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事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
前回までの学習内容を復習すること | 時間(分) | 90 | |
9 | テーマ | 【基礎演習】施設環境のモニタリング 【工学演習】 関数の微分と積分1 |
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内容 方法等 |
【基礎演習】 施設環境のモニタリング(排水・排気・表面汚染の除染) 【工学演習】 関数の微分の意味が理解でき、それを現実の現象とつなげ合わせることができる。特に運動方程式の位置、速度、加速度、を時間微分で表す事ができることを知る。また、それらを逆に時間積分することにより運動の様子を理解する。 |
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事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
10 | テーマ | 【工学演習】 関数の微分と積分2 | ||
内容 方法等 |
【工学演習】保存力を理解し、位置エネルギーの定義から、位置エネルギーと力の関係を理解する。この理解の下で、種々の体系で力を計算するとともに運動を記述する。 | |||
事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
11 | テーマ | 【工学演習】11.,微分とマクローリン展開、テーラー展開 | ||
内容 方法等 |
【工学演習】無限回微分可能な関数のゼロ近傍の近似を多項式で表すマクローリン展開を理解する。これを利用して種々の関数の近似値を求めることができ、また、同様に、ある定数の近傍の展開もでき(テーラー展開)、その値の近似値を求めることができることを理解する。 | |||
事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
12 | テーマ | 【工学演習】 微分方程式1 | ||
内容 方法等 |
【工学演習】簡単な現象についての微分方程式(1階線形同次微分方程式)を立てることができ、それを境界条件の下で解くことができる。また、異なる現象でありながら微分方程式が同じ形になる現象を見いだし、これらは統一的に解釈することができることを理解する。 | |||
事前 学修 |
前回配布した次回の演習問題を予習しておくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
13 | テーマ | 【工学演習】微分方程式2 | ||
内容 方法等 |
【工学演習】二階線形同次微分方程式を立て、解くことができる。特に放射能の平衡条件の微分方程式を立てることができ、解くことができる。 | |||
事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
14 | テーマ | 【工学演習】偏微分法 | ||
内容 方法等 |
【工学演習】現実の問題では複数の変数で決められる物理量を考えるのが普通である。特定の変数に注目しその微小変化を考える偏微分係数を理解する。またその代表例である、一次元熱方程式(二階線形放物型方程式)、一次元波動方程式(二階線形双曲型方程式)の成り立ちを理解する。 | |||
事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。 | 時間(分) | 90 | |
15 | テーマ | 【工学演習】シミュレーションとモデル化 | ||
内容 方法等 |
【工学演習】物理現象をモデル化することで微分方程式を作ることができるようになる。このモデル化の考え方を理解する。また導出した微分方程式を解くことができるようになる。 | |||
事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 90 | |
事後 学修 |
行った演習内容を復習し、ノートにまとめる。全体を復習する。 | 時間(分) | 90 | |
16 | テーマ | 全体まとめ(最終まとめ) | ||
内容 方法等 |
1から15についてのまとめ(西嶋、三島) | |||
事前 学修 |
配布資料を予習として読んでおくこと。 | 時間(分) | 180 | |
事後 学修 |
全体を再度復習する。 | 時間(分) | 90 |
教材・参考書
No. | 分類 | 書籍名 | 著者名 | 出版社 | 価格 | ISBN/ISSN |
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1 | 教材 | 初級放射線 第14版 | 上蓑義朋編 | 通商産業研究社 | 4730円(税込) | 9784860451486 |
2 | 教材 | 放射線概論 第13版 | 柴田 徳思(編) | 通商産業研究社 | 5280(税込) | 978-4-86045-136-3 |
3 | 教材 | プリント配布 | ー | ー | ||
4 | 参考書 | 放射線取扱主任者試験問題集 第2種 2025年版 | 通商産業研究社 | 5280(税込) | 9784860451561 |