教員紹介
Faculty Members' Profiles
工学部 原子力技術応用工学科
Department of Applied Nuclear Technology
分級および磁気力制御法による放射性汚染土壌の除去
除染作業で発生した大量の汚染土壌を、大線量と小線量の土壌に分け、大線量の土壌を適切に管理・保管するための技術を研究しています。この一連の作業(汚染土壌の体積を減らすこと)を減容化と言います。この減容化をめざし、汚染土壌を粒子の大きさによって分けたり(分級)、磁場を使って放射能を濃縮する方法(磁気力制御法)を開発しています。
- 研究テーマ
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- 放射性汚染土壌の減容化
- 汚染廃棄物の分離
- 耐放射線性超電導磁石絶縁材料の開発 など
放射性廃棄物処理の新技術開発
高気圧マイクロ波放電装置により生成したアルゴンプラズマを用いて、原子力発電所プラントの廃炉により生じる廃棄物や東京電力福島第一原子力発電所事故で放出され、土壌などに蓄積した放射性セシウムやヨウ素を安全かつ容易に分離および捕集する技術の研究開発を行っています。
- 研究テーマ
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- プラズマによる放射性物質捕集
- 高分子材料の経年劣化測定技術開発
- ゲル線量計開発 など
化学処理および磁気力を利用した放射性クラッドの除去
設備の老朽化や安全性への問題を抱える原子力プラントについての廃炉作業が進む中、事故により放出された放射性物質のほか、廃炉作業にともなう放射性廃棄物の回収技術の向上が求められています。廃棄物の磁気特性に着目し、磁気力を用いて分離回収する手法の研究開発を行っています。
- 研究テーマ
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- 磁気力を利用した放射性クラッド除去
- 磁気力を利用した有価資源の回収 など
原子力の安全性向上のための混相流研究
原子力発電所を含む多くの原子力施設では、通常時、事故時ともに、沸騰を含む種々の混相流動現象が現れ、これが安全に大きく関係しています。これらの現象を理解するために、CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)を用いた精緻な解析手法の開発を行うとともに、解析評価により原子力施設の安全性向上に関する研究を行っています。
- 研究テーマ
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- 原子炉内熱流動現象
- 混相流の数値解析技術の開発
- 原子力施設の安全評価手法 など
逆問題解法による放射線検出性能向上
汚染状況の迅速な把握など、短時間かつ高精度に放射線計測を行うための「逆問題解法」の研究を行っています。
逆問題解法とは、連立方程式を解くように、測定結果からその要因である放射線源のエネルギーや空間分布等を求める技術です。高速・高精度化の課題に取り組んでいます。
- 研究テーマ
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- 放射線・粒子挙動シミュレーション
- 検出器応答関数の高速生成法
- 逆問題解析の不確かさ低減手法 など
環境中における放射性物質の存在形態
放射性物質のマクロな視点でのふるまいは、放射性物質の化学的な形態や移動媒体の化学特性といったミクロな視点で見た性質により決定されます。これらの性質を把握することで、挙動予測や廃棄物の工学的な処理方法の構築に貢献します。
- 研究テーマ
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- 土壌・植物中放射性核種の存在形態の分析
- 原子力事故後の汚染地域における放射線防護
- 電磁アルキメデス力を用いたマイクロプラスチックの分離
原子力と地域との共生
原子力政策を進めるには、不安を抱える地域や人々をはじめ、国民に対して、再稼働、廃炉、廃棄物処分などについての理解、関心、信頼、防災・減災などを図る必要があります。そのためにも、社会システムの変化に柔軟に対応し国民や地域、人々のニーズ、課題に応じたコミュニケーション方法、また地域の実情を踏まえた研究を行っています。
- 研究テーマ
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- 人々の問題意識、ゲーム、ビッグデータ活用による対話の場のデザイン
- 地域に与える風評被害の影響分析および対策 など
小型モジュール炉の多目的利用
小型モジュール炉(Small modular reactor: SMR)は、昨今世界中で研究・開発が盛んであり、日本でも第6次エネルギー基本計画の中で、今後SMRの研究開発に積極的に取り組むことが明示されています。SMRの高い安全性などの特性を生かし、SMRからの原子炉熱を利用した社会産業へ多目的応用等、日本に適したSMRの運用、設置(場所)、設計に関しての調査・研究を行っています。
- 研究テーマ
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- SMRの応用利用技術研究
- 新規SMRコンセプトデザインの研究