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2024.10.04

しまあめラボ代表 環境学部 笠井利浩教授の自律分散型スマート雨水利用システムがIDB(国際開発金融機関のひとつ)のレポートに掲載されました

IDB(国際開発金融機関のひとつ)レポートのトップイノベーション欄に、しまあめラボ代表 福井工業大学 環境学部 環境食品応用化学科 笠井利浩教授の自律分散型スマート雨水利用システムが掲載されました。
長崎県の五島列島に属する赤島での安全な給水システムの構築活動、自律分散型スマート雨水利用システムの研究・開発が技術的・社会的組織な検証プロジェクトとして優れた事例であると称されております。

IDB(国際開発金融機関)のレポート・トップイノベーションより抜粋
■見どころ
 自律分散型スマート雨水利用システムは、雨水をスマートかつ効率的に利用することを目的とした最先端技術アプリケーションである。この革新的なシステムは、センサーによって遠隔操作できるように設計されており、降雨量が多く、安全な飲料水の入手が困難な地域で特に有用である。このシステムの構築は、水の価値を評価し、雨水利用の可能性を探るエキサイティングなものである。雨水という天然資源の力を利用する技術を使うことで、このシステムは持続可能な方法で水の保全と管理を改善するのに役立つであろう。
長崎県の五島列島に属する赤島は上水道が整備されていないため、島民はタンクに貯めた雨水を利用して生活を営んでいる。この島を発見した笠井教授は、研究パートナーである近藤准教授とともに雨水を利用した安全な給水システムを構築するため、しまあめラボを設立した。笠井教授は研究室の学生らと共に集落から少し離れた高台に「雨畑」(雨の集水面:約50m2)を作った。そして、島の宿泊施設「赤島の家」に水を供給するための貯水タンクなどを設置した。自律分散型スマート雨水利用システム」には、水質が悪い初期雨水を除去する装置も備えられており、インターネットを通じた遠隔監視も可能である。得られたデータやノウハウは、日本各地や世界各地に応用され、水不足に悩む人々の生活を大きく改善することが期待されている。
笠井教授は、プロジェクトを通じて雨水利用の啓蒙活動にも取り組んでいる。2018年と2019年には、小中高生を対象に赤島で雨水を利用した生活を体験するツアーを開催した。このツアーは子どもたちに大変好評で、上水道のない生活を体験することで水の大切さを感じてもらえた。2021年には、福井市の飲料メーカーと共同で、雨水を使ったボトル入り飲料水を製造した。関連する食品衛生法に記載されている水質基準をすべてクリアし、販売に必要な品質レベルを達成した。
■革新的なメリット
 技術的・社会組織的な検証プロジェクトとして優れた事例である。雨水利用による給水システムを低コストで運営・維持できることが高く評価された。また、子ども向けのツアーやボトル入り飲料水などの活動により、雨水の有効かつ効率的な利用に対する意識も高まった。このプロジェクトは、他の遠隔地への応用可能性が評価され、2020年に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が主催する「STI for SDGs」アワードの優秀賞を受賞した。

IDB(国際開発金融機関のひとつ)レポートのトップイノベーション欄の原文(和訳入り)は添付のPDFをご覧ください。


国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が主催する「STI for SDGs」アワードの優秀賞を受賞の記事はこちらから
https://www.fukui-ut.ac.jp/news/ccrc/entry-6436.html


お問い合わせ:社会連携推進課