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2023.03.01

日本海イノベーション会議 福井工業大学プログラムにおける質問について


令和5年2月26日に北國新聞社様との共催で開催しました日本海イノベーション会議 福井工業大学プログラム「福井工業大学 宇宙への挑戦」にご聴講くださいました皆様、ご参加くださいましてありがとうございました。ご参加の皆様より沢山のご質問を頂戴いたしましたが、時間の関係で一部のご質問のみの回答となりましたこと、お詫び申し上げます。当日頂戴いたしましたご質問に対する回答をホームページに掲載させていただきましたので、ご覧ください。
今後とも本学が取り組んで参ります「宇宙への挑戦」にご支援くださいますようお願い申し上げます。

【ご質問の回答】
Q1_宇宙のごみ問題が起きていると聞く。もしコントロールが困難なとなったら回収までに考えているか?宇宙でも使い捨て問題があるのでは?
A_これまでは、使い終わった人工衛星が自然に大気に突入し燃え尽きるのを待っていましたが、現在は、使い終わった後、速やかに大気に突入する機構を備えることが求められるようになってきています。また、近年、人工衛星を用いて宇宙ゴミを回収することを目的とした企業が出てきており、今後の活動が期待されます。福井工業大学として直接宇宙ゴミの回収に取り組んでいるわけではありませんが、人工衛星の運用を通して持続的な宇宙利用に貢献できればと考えています。

Q2_宇宙を制する者は世界を制すると言うが、どうか?今後各国の開発で宇宙環境も悪くなるが、どう思うか?
A_・宇宙空間は科学、教育、産業、経済など様々な観点から重要な分野であり、そういっても過言ではないと思います。
・現状では宇宙の利用に関する国際的な制約がほとんどなく宇宙環境の悪化が既に始まっています。一方で、SSR(Space Sustainability Rating)と呼ばれる宇宙環境保全のための国際的格付け機関が設置されるなど、持続的な宇宙利用の仕組みをつくる取り組みも進んでおり、今後の改善が期待されます。

Q3_もしHe鉄があればどんな様子か?
A_He鉄はブラックホール周囲などの一億度という非常に高温の環境下で鉄原子の最内殻の電子2個を残して電離(イオン化)されたものです。地上環境ではこのような不安定な状態では存在できず、すぐに電子が取り込まれてしまいます。

Q4_エクレウス衛星というが衛星の定義は?人材育成をうたっているが就職先との協力体制・情報共有はどのようなものができそうか?宇宙探査には長い時間がかかるとのことだが後継者への引継ぎはどのようにしているのか?宇宙の研究協力協定を結ぶときは、どのような経緯で結ぶことになるのか?
A_・衛星の本来の定義は「惑星の周りを回る天体」です。したがって、人工衛星とは惑星の周りを回る人工物となります。ついうっかり「エクレウス衛星」と言ってしまうのですが、エクレウスは必ずしも惑星の周りを回らないので、「エクレウス探査機」と呼ぶのが良いですね。
・一例として、人工衛星を開発している福井県のセーレン株式会社と中長期的な視野の下に昨年10月に共同研究契約を締結し、福井テレビ他県内企業が参加する衛星プロジェクトに参画しています。また、アンテナシステムの開発、運用、保守において様々な企業と関係が出来つつあります。このような関係において、学生がいわばインターンシップ的に参加することを通して、効果的な人材育成につなげます。

Q5_フライバイトは何か?電子2個の鉄はHeと同じ電子数になりFeの性質はなくなるのか?アンテナを低コスト化するとのことだが、どれくらい安くなるのか?運用の幅を広げると農業で実用化すると具体にはどのようなことができるか?
A_・「フライバイ」とは、探査機が惑星など天体の近くを通過することを言います。
・原子の種類は原子核が持つ陽子の数で決まります。また通常、原子が持つ電子の数は陽子と同じになります。鉄原子は56個の陽子を持つので、通常、56個の電子を持ちます。他の原子と電子をやりとりして電子の個数が変わることがありますが、陽子の数は56個のままですので鉄であることに変わりはありません。
・従来の30m級大型アンテナのおおよそ5分の1程度です。
・地球を周回する人工衛星から撮影された農地の写真を使って、農作物の生育状況調査や刈取適期の予測、収量予測、農地の利用状況調査などを行われています。

Q6_宇宙のプロジェクトを進める際の役割分担や時間配分はどのようになっているのか?月面の建屋の中にはどのような設備があるのか?地上局設置、運用の資金はどのように集めているのか?電波とはそもそも何か?宇宙開発の貢献として環境、エネルギー、食料面などのメリットがあると思うが、課題としてはどのようなことがあるのか?65歳以上の高齢者でも福井工業大学の宇宙の研究にボランティアとして参画できますか?
A_・アンテナシステムの開発運用に関わることは宇宙研究推進本部が担い、各学科で関連する研究を行っています。各学科では教育と連動して時間配分を勘案しながら進めています。衛星データ利用に関する研究にはAI&IoTセンターも加わっています。また、広報や事務に関することは大学事務局が担当しています。
・月面の建屋の中には、月探査に必要な様々な装置やデータ解析、実験を行う部屋、惑星探査のための衛星やロケットをつくる設備、地球を含めた様々な通信を行う設備が備えられるでしょう。また、人が住むわけですから、私たちが地球上で必要とするのと同じ機能の設備が必要になるでしょう。
・地上局設置は大学独自の資金で行っており、必要な機材について文部科学省の宇宙航空科学技術推進委託費のご支援を頂いています。維持管理を含めた運用については大学のサポートの下、競争的資金の取得に努めていく所存です。
・電波とは光の種類です。光には私たちの目に見える光(可視光線)と目に見えない光がありますが、目に見えない光として電波、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線があります。
・課題として、地球および宇宙の環境を保全するための仕組みができていないことが挙げられます。例えば現状、人工衛星の打ち上げ機数について制限がありませんが、宇宙ごみの問題に加えて、人工衛星の数が増えすぎて地球からの天体観測に支障が出始めています。持続的な宇宙利用のための仕組みが求められています。
・これについては考えていませんでした。一般市民が参加できる方法があればとても良いですね。検討してみたいと思います。

Q7_探査のデータを市民が使えるように公開してもらえるか?説明もしてもらえるか?東京に中高大学生がいるので資料として送りたいので。
A_2.4mアンテナで受信しているアメリカの地球観測衛星のデータを以下のサイトで公開していますのでご覧ください。http://www.fut-phoenix.jp/
ご要望があれば説明を致しますのでお知らせください。

Q8_打ち上げロケットはどのように決められるのか?H3打ち上げ中止で今後の計画への影響は?大学院生が少ないが研究体制として十分か?他の大学や企業との連会はどのように図られているのか?4つのアンテナは、まとめて一つの多機能、高性能なものはできなかったのか?衛星や探査機からのデータは公開されているのか?ネットで見られるか?
A_・打ち上げロケットは、衛星の目的やロケットの打ち上げ時期・費用などを総合的に勘案して決められます。
・H3の打ち上げ失敗の影響はあると思いますが、長期的視野に立って取り組んでいくことが重要と考えています。
・プロジェクトが始まったばかりですので、現在は学部生が多く参加しています。数年後には大学院生として活躍する学生も出てくると思います。
・地球周回から月探査、電波天文まで幅広い目的にアンテナを活用します。目的が違えばアンテナに要求される機能や性能、構造が大きく変わってきます。したがって、一つにまとめることが最適と考えておりません。また、今後、衛星や探査機の数がますます増加することが見込まれる中、複数のアンテナがあることは役立つと考えています。
・2.4mアンテナで受信しているアメリカの地球観測衛星のデータを以下のサイトで公開していますのでご覧ください。http://www.fut-phoenix.jp/

Q9_宇宙空間は真空であり、慣性の法則で衛星は打ち上げたら限りなく遠方に積んでいくのではないか?
A_打ち上げ後、衛星に何の力も働かなければご指摘のとおりです。実際には、地球からの引力によって衛星の進行方向は常に地球中心に引き寄せられるように変化するため、地球を周回する軌道になります。

Q10_エクレウスのアンテナの仕様と出力は何ワット?深宇宙対応(火星基地との通信など)のアンテナ建設の予定は?
A_・エクレウスのアンテナの仕様は公開できませんのでご了承ください。
・深宇宙対応のアンテナ建設の予定は今のところありません。しかし、今後の通信技術の進歩によって口径が小さくとも深宇宙との通信ができるようになるかもしれないですね。

Q11_海のごみ監視のデータは公開されているか?どこと連携して回収しているのか?ブラックホールが過去に観測された時に貢献しましたか?今後どこにあると観測を進めていますか?
A_・海ゴミの監視のデータは公開しておりません。また、回収については将来の可能性として申し上げたもので、現在回収は行っておりません。
・現在、福井工大10mアンテナを電波望遠鏡として整備しており、将来的にはブラックホールを観測するプロジェクトにも参画したいと考えています。また、太陽質量の数百万倍の超巨大ブラックホールはほぼ全ての銀河の中心にあると考えられています。

Q12_大学の工学部宇宙関連で女子学生は何名か?
A_現状では、本プロジェクトに参加している16名中、1名です。

Q13_イーロンマスクのスターリンクは日本では1セット10万円と聞くが、日本でもスターリンクに負けない衛星ネットワークを構築してほしい。
A_日本で多数の衛星による連携(衛星コンステレーション)を目指したスタートアップ企業が活発に活動されていますので今後に期待したいと思います。本学の地上局がそのような衛星コンステレーションの運用に貢献できればと思います。

Q14_月面基地では隕石落下は地球より深刻な問題だが、どのように考えているか?
A_月の地下には空洞があるといわれており、実際には地価の空洞に様々な施設を建設することになるかもしれないですね。

Q15_月に進出した時に、地球の微生物による環境汚染は考えられないか?
A_十分に考えられると思います。「惑星保護」という「地球のもので他の星を汚さない、他の星のもので地球を汚さない」という考え方があります。国際宇宙空間研究委員会の規定する惑星保護方針に準拠した宇宙機の開発や運用が行われており、現状は微生物による汚染を防ぐことが主な目的となっています。惑星保護方針は法律ではありませんが、国際条約に準ずるものとして扱われています。

Q16_あわらキャンパスの見学は5月の連休中だけか?アポなしで見れますか?見学会はないのか?電波望遠鏡のデータは他の大学などに提供するのか?太陽は最後があり、人類は滅亡するのか?
A_電波望遠鏡の観測データに興味を持っていただいた場合、ご相談いただけましたら、データ提供や共同研究など柔軟に対応したいと考えています。太陽の寿命は約100億年であり、50億年前に誕生した太陽はおよそ50億年後に最期を迎えます。太陽は最期に赤色巨星として膨張するため、地球含め太陽系の環境は大きく変わります。その時の人類の存亡についてはわかりませんが、それまでに人類が技術革新や別惑星への移住など様々な進化を遂げ、生き残ることを期待します。

Q17_あわらは海に近くアンテナの錆などリスクが高そうだが、大丈夫?
A_あわらキャンパスは海岸から2kmと近いため、アンテナには防錆処理を行っています。

Q18_アンテナ設置では日本海からの強風や雪対策は大丈夫か?耐久年数は何年か?フェルミ粒子は半整数のスピンを持つが正体のあるものか?月でアンテナを作り観測した方がよいと思うが計画はあるか?
A_アンテナのあるあわらキャンパスは比較的降雪量が少ないと言われいていますが、それでも、風や雪は観測の障害となりますので、ある風速以上、また降雪時は観測をしない、といった対策をする予定です。アンテナの耐久年数については、しっかりとメンテナンスをすることで40年程度持つと期待しています。電子や陽子などの粒子をフェルミ粒子と言います。現在月面天文台に向けた検討が国際的に行われています。

Q19_ワットの通信パワーは445kmの中で減衰しないのか?また、障害(雑音)はないのか?探査機の速度11km/hはどのように決まるのか?
A_1ワットの送信パワーは月軌道、44万kmの距離で減衰するため、大きなアンテナが必要となります。衛星からの電波はアンテナが受信する宇宙雑音や大気雑音の影響を受けます。探査機の速度11km/Sは、地球の重力を振り切るために必要な地球表面における初速度です。

Q20_天の川銀河は棒渦巻銀河か?ブラックホールは棒の上にあるのか?天の川銀河の回転によるドップラー効果の影響は?
A_天の川銀河は棒渦巻銀河です。天の川銀河のように棒状構造を持つ多くの銀河の中心に太陽質量の100万倍以上の超巨大プラックホールが存在します。観測する天体が運動している場合、観測者から天体の視線方向の相対的な速度(近づく、または遠ざかる運動成分)により、観測される電波の周波数は変化します(ドップラーシフト)。

Q21_無限に広がる宇宙と教わったがどこかに終わりがあると考えるが、専門家の意見は?宇宙人は存在するのか?
A_私達のいる宇宙は、138億年前に誕生したと考えられています。138億光年より遠いところを見ようとしても、そこには宇宙がないのですから、なにも見えません。その意味では、138億光年の距離が「宇宙の果て」といえます。天の川銀河にはおよそ3000億の星があり、宇宙には観測できるだけで数1000億の銀河があります。そのような宇宙で地球と同様に水やアミノ酸があり、生命が誕生できる環境にある惑星は意外に多いと言われています。また、全く別の物質を利用して成り立っている生命があってもおかしくありません。

Q22_膨張する宇宙で再計算された女性の名前は?スパコンでどのくらいの時間をかけて計算したのか?
A_ご質問は、JAXAの金星探査機「あかつき」がエンジン故障を乗り越えて、金星周回軌道入りに成功したことに関するものと思われます。この時の経緯については、下記のURLに説明が掲載されております。
https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20160112_01/


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