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オンライン講演会
『大学発超小型衛星による新しい宇宙開発への挑戦』

オンライン講演会『大学発超小型衛星による新しい宇宙開発への挑戦』
本学会議室での聴講の様子。写真右から、掛下知行学長、中城智之教授(工学部電気電子工学科)、青山隆司教授(工学部電気電子工学科)
本学会議室での聴講の様子。写真右から、掛下知行学長、中城智之教授(工学部電気電子工学科)、青山隆司教授(工学部電気電子工学科)

2022年1月19日、講演会『大学発超小型衛星による新しい宇宙開発への挑戦 ~多様な科学・ビジネス利用と教育への貢献~』が行われました。

講演会は“ふくいPHOENIXハイパープロジェクト”の一環で、オンライン開催の呼び掛けに応じた学生や教員など146人が参加。講師である東京大学の中須賀真一教授(大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻)から、宇宙開発の最先端事情についてお話を伺いました。

中須賀教授は大阪生まれ。アポロ11号の月着陸(1969年)、大阪万博(1970年)での「月の石」見学などを機に宇宙や航空に高い関心を寄せられました。東京大学卒業後、民間企業で人工知能の開発に関わり再び同大学へ。米スタンフォード大で目にした学生も参加する超小型衛星開発が研究の転機となり、現在は、超小型衛星を含めた宇宙システム、自律化・知能化の研究などに取り組んでいます。

東京大学の超小型衛星プログラムに関わったことを機に、宇宙ベンチャーを立ち上げた卒業生も多数います
東京大学の超小型衛星プログラムに関わったことを機に、宇宙ベンチャーを立ち上げた卒業生も多数います

講演は、①超小型衛星の意義と東大での開発史 ②日本の政府の宇宙開発利用と世界の宇宙産業の新しい潮流 ③ベンチャーの登場による宇宙産業の活性・多様化―という3つの柱で進みました。

中須賀教授は、超小型衛星プロジェクトを教育に取り入れる意義の一つに「学生たちの問題解決に向かう意識の涵養」を挙げます。

問題解決に向かう意識とは「目標を設定し、その実現には何をやればよいか」を考え抜くこと。解析やシミュレーション中心の「前向き推論」ではなく、問題解決からの「逆向き推論」が学びのモチベーション向上につながると強調します。

同大発の1kg超小型衛星『CubeSat』の初打ち上げは2003年。その後の小型低廉化の進展により、超小型衛星は教育目的のフェーズから実用のフェーズに入っています。

中須賀教授は多数衛星の打ち上げを目指す宇宙ベンチャー企業を取り上げた上で、多数衛星を使った「Store&Forward」という情報取得技術を紹介。地上にある多数のセンサーからのデータを衛星が集約し地上局に送り込むという技術で、災害監視、水位・水質監視、地面の移動の監視などに展開できる可能性があるとしました。

世界の宇宙産業の市場規模は2016年の36.9兆円から年率5.1%で増大、2050年には200兆円を超えると予想されているとのこと。中須賀教授は「新しいビジネスの動き」として、宇宙での食の提供、宇宙ホテル、有人旅行、デブリ(宇宙ごみ)除去など軌道上サービス、“ふくいPHOENIXハイパープロジェクト”も関係する月探査関連などを挙げました。

講演会の後半には質疑応答の時間も設けられ、画面越しながらさまざまな質問が活発に寄せられました
講演会の後半には質疑応答の時間も設けられ、画面越しながらさまざまな質問が活発に寄せられました

アポロ11号の月着陸など、「子どものころの『ビリビリと気持ちが震え感動した経験』が今につながっている」と話す中須賀教授。「ワクワクする世界としての宇宙を利用しよう」とした上で、教育の題材、新産業を生み出す舞台、地球温暖化など地球規模課題の解決手段、国際協力の場など、宇宙の持つさまざまな顔を生かそうと呼び掛けました。

宇宙開発の将来像や、われわれの暮らしとの関わりを密度濃く、分かりやすく得ることができた約2時間の講演会。中須賀教授からは、「国際連携の重要性を意識すること」「ビジネス展開に向けた広い視野を持つこと」など豊富な経験に基づく助言もあり、聴講者は宇宙に対する物事の捉え方を再認識しました。

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