

2019年11月9日、昨年好評だった「勝山小原貸切スターツアー」が福井県勝山市小原地区で行われました。台風の影響を受けて延期となりながらも県内各地から28人の参加がありました。
ツアーは、同地区・周辺地区の皆さんと福井工業大学建築土木工学科の学生でつくる『小原ECOプロジェクト』と、えちぜん鉄道が主催し、『ふくいPHOENIXプロジェクト』が協力しました。
参加者は大人25人、子ども(幼児・小学生)が3人で、家族連れ、友人同士、おひとり様等さまざま。動機を伺ったところ「星空が好きだから」「電車に乗って星空を見に行きたいから」「小原地区には若い頃よく行っていたから」などの声があり、わざわざ勝山市から福井駅まで来られて気持ちを盛り上げたという参加者もいらっしゃいました。
えちぜん鉄道福井駅に集合後、福井駅西口にあるセーレンプラネットへ移動。館内のドームシアターにて、スタッフの方が「今夜はこんな星座が見られるかもしれませんよ」と、予想される星空を映し出し説明してくれました。
天体観測に向けた事前学習を終え、14時47分発の貸し切り列車を待ちます。「勝山小原 貸切 スターツアー」と書かれた特製ヘッドマークを掲げた電車がホームに入ってくると、みんないっせいパシャパシャと撮影大会!テンションが一気に上がった様子です。
貸し切り電車はただの電車ではありません。デザイン学科の有志が、「海の宇宙」と呼ばれるサンゴのオブジェを飾り付けた「宇宙アート電車」です。説明に立った学生たちによると「海の資源問題に意識を向けてもらおうと、紙ストローでサンゴの産卵を表現しました」とのことです。
続けて、建築土木工学科の吉村朋矩准教授が「星空とヒトをつなげる価値 ~緩やかな時間を愉しみ日本一の幸福を体感~」と題した講演を行いました。
吉村准教授は「電車の中でプレゼンするなんてこの先はないかもしれない」と顔をほころばせながら、「地域資源である星空の価値を伝え、魅力ある観光資源へ展開する考えが大切。星空が見える場所を小原地区の観光資源の一つとして考えられないか」と提案しました。
勝山駅に到着後、マイクロバスに乗っていざ小原地区へ。現在、住民が一人の小原地区では、このスターツアーで交流人口を増やして限界集落を活性化させる狙いもあるといいます。
参加者は、建築土木工学科の学生たちがリノベーションした古民家に入り、勝山市にある「旬菜食祭お食事処 花月楼」の地産地消弁当や、小原ECOプロジェクトの方が準備してくれたイワナの塩焼き、イノシシ汁などを堪能しました。
小原ECOプロジェクト代表・國吉一實さんから観測地点での注意事項や説明を受け出発。30分ほどマイクロバスに揺られて、標高1100メートル、全天360度の観測地点へ!
観測地点に到着する頃にはすっかり日も暮れ、ほのかな炎をたよりに広場へ向かいます。学生がたき火と小さなテントを立てて待機し、プロジェクトメンバーはお茶やコーヒーを用意してくれていました。
セーレンプラネットで教えてもらった金星、木星、土星をなんとか肉眼でキャッチ。観測地点では天体望遠鏡を使った観測もでき、土星の輪を見た子どもたちから大きな歓声が上がります。この日は月が明るく星がかすんでいましたが、夏の大三角形やアンドロメダなどを確認することができました。
野外に並べられたアウトドア用ベッドに寝そべりながら空を見上げる方も。寒さも感じられるひとときでしたが参加者はなんのそのといった様子。「いつまでも見ていられます」と天を見上げていました。
広場では、観測のかたわらマシュマロや勝山おやき、ポップコーンを焼いたり、わいわいと集まって大盛況。星空より団子だったかもしれません。
電車の時刻が近づき名残惜しく場所を後にする参加者たち。準備いただいたスタッフの方々に手を振って下山し、えちぜん鉄道勝山駅から福井へ。帰りも貸し切り電車でした。
「通常の運行時には行わないけれど、今日は特別に」というアナウンスとともに、車内灯がいっせいに消え真っ暗に。車窓から見える夜の明かりがまるで星空のようでした。
ふくいPHOENIXプロジェクトは今後も、県内各地の地域づくり団体や交通事業者などと協力して、県内外からのお客様をおもてなしできるよう、星空ツーリズムに取り組んでまいります。