2019年6月15日、福井駅西の複合施設「ハピリン」内にあるセーレンプラネット(福井市自然史博物館分館)ドームシアターで、福井新聞社ゆめ つくる ふくいプロジェクト主催、“ふくいPHOENIXプロジェクト”の企画・運営協力のもと「ふくい宇宙アイデアソン」最終プレゼンテーション発表会が行われました。
アイデアソンとは、アイデアとマラソンとの造語。少人数のグループなどをつくり、限られた期間で新たな物事を生み出すための議論や検討を重ねる手法のこと。「ふくい宇宙アイデアソン」では、「宇宙の衣食住」をテーマに県内の学生・生徒らを対象に“アイデア”を募集しました。
最終プレゼンテーションは、3月下旬から約2カ月半かけて進めてきた議論・検討などの成果を発表する場。同日開幕した航空宇宙の国際会議「第32回宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)福井大会」の関連イベントとして行われ、会場には、参加12チームのメンバー、教育関係者、シンポジウム参加者らが集まりました。
審査には山本雅己さん(福井県工業技術センター所長)、保坂武文さん(ふくい宇宙アイデアソンファシリテーター)、本プロジェクトコーディネーター中城智之(福井工業大学電気電子工学科教授)ら6人が当たり、「独創性」「実現性」「プレゼンテーション力」など、計5項目各10点満点で審査を進めていきました。
本学からは、食の分野で『FUT 古澤研究室』チーム、住の分野で『モッソモッソの会』チームの2グループが参加。古澤研究室チームは「朝食から始まる宇宙生活」をテーマにした宇宙食のアイデア、「モッソモッソの会」は地球外の惑星上における住居のアイデアを発表し、福井の名産品や地場産業との関わりなどをアピールしました。
古澤研究室チームは、将来的に増加が予想される一般の宇宙旅行者までを想定した朝食向けのふりかけを提案。「体内時計の乱れを朝食でリセットできれば」と、若狭梅、サバのへしこ、越のルビーなど、味のバリエーションと栄養価を兼ね備えたアイデアを発表し、「アイデアソンを通して、遠い存在だと思っていた宇宙を身近に感じることができた」と締めくくりました。
冒頭、「みなさんは宇宙での生活を考えたことがありますか?」と投げ掛けたのはモッソモッソの会のメンバー。一般人の家族が長期間宇宙で暮らすことを想定し、火星における住空間のありかたを発表しました。空間を建具などで区切る日本古来の「しつらい」を基本に置き、地球との重力差を生かした軽量な家具などを配置するアイデア。建具の素材として越前和紙を採用するなどの提案もありました。
審査発表後に審査員から講評があり、「中間発表の時と比べ別人のような発表で目を見張った」「福井と宇宙をつなぐ発表を聴くことができ楽しかった」「これからの宇宙開発ではインフラだけでなく、文化をつくることも重要となる。アイデアソンを機に今後も挑戦を」などのコメントが寄せられました。本学チームは僅差で入賞を逃したものの、短期間で密度の濃い議論や検討を行った経験は今後きっと生きることでしょう。