ふくいPHOENIXプロジェクト
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INTERVIEWフォトツーリズムと星空とをつなぐ、越前町瀬戸地区の自然現象「青い雪」。希少さが、地域資源ブランドの鍵となる。 2017.11.21

下川勇(建築土木工学科准教授)

宇宙研究・観光文化・地域振興―「ふくいPHOENIXプロジェクト」が掲げる3つの軸のキーパーソンに話を聞くインタビュー企画。今回紹介するのは、「人口減少時代の地域づくりのモデル化」を研究領域とする、建築土木工学科の下川勇准教授です。

― 「ふくいPHOENIXプロジェクト」における下川先生の研究についてお聞かせください。

下川:福井県南越前町瀬戸地区を対象にした「星と雪 ~フォトツーリズムによる地域活性~」という研究を行っています。この地区で冬場にしか見られない「青い雪」という自然現象とプロジェクトの観光文化研究軸を重ねた研究を行っています。

瀬戸集落風景

▲瀬戸集落風景

― そもそも、下川先生が瀬戸地区に興味を示されたのはなぜでしょう?

下川:瀬戸地区は2015年時点で、世帯数19世帯、人口39人の小さな山間集落です。南越前町中心部に当たる今庄東部にあり、限界集落となることが予想されます。研究テーマである「人口減少時代の地域づくりのモデル化」を進めるに当たり山間部の現状を把握する必要があると考え、この地区を研究対象としました。

研究活動は始まったばかりで、今年(2017年)6月ごろから研究室所属の4年生が卒業研究の一環として地区での活動を始め、草刈りに参加するなどして地元の方との関係づくりを進めているところです。

地元住民と学生の懇談

▲地元住民と学生の懇談

― ところで「青い雪」とは耳慣れない言葉ですね。

下川:降り積もった雪が月明かりで青く見えるという瀬戸地区ならではの自然現象なのですが、昨シーズンに見られたのはわずか3回。地元の方も「知らない人が撮影に来ているのを見掛ける」と話すくらい、知る人ぞ知る観光資源なんです。月がきれいに現れる夜は、星を見ることができる夜空でもあり、まさにプロジェクトのB軸(=観光文化研究軸)とリンクしますよね。

― 撮影だけを目的に瀬戸地区を訪れている方がいると。

下川:そうなんです。旅行の在り方は時代と共に変遷し、物見遊山的な団体ツアーから、個々の目的に特化した個人ツアーへと観光需要が移りました。昨今では、写真撮影を目的とする「フォトツーリズム」も、多様化する旅行スタイルの一つとして定着しています。

― フォトツーリズムの観点から、瀬戸地区が今後クリアすべき課題にはどういったことがありますか?

下川:飲食店や宿泊施設といった受け入れ体制の整備です。地元には、きしめんのようなそばやユニークな炊き方をするご飯など、特徴ある伝統料理や調理法があるんです。地区内にある、使われていない蔵をリノベーションするなどしてそうした食を体験できる場を作れるといいですね。

― 下川先生が研究を通して見上げる福井のソラには、どのような日本の未来が映っているのでしょうか。

下川:B軸は日本の人口減少問題に真正面から向き合う軸ではないかと思います。たまたま瀬戸地区はフォトツーリズムがテーマですが、最適なアプローチは地域ごとに当然異なるはずです。

地域資源のブランド化で重要なポイントは、サスティナブルな「地域経済活性化」の仕組みを作るということです。「瀬戸地区の青い雪」ということで、ゆくゆくは「SETO BLUE」というブランドを作ってツアーや地域産品をプロデュースしたいですね。「SETO BLUE」、いい響きだと思いませんか?

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