研究情報
放射能除去装置の開発と実用化検討 ―放射性物質の分離・消滅処理―
研究者名
堀池 寛*、砂川 武義*、尾崎 禎彦*、西嶋 茂宏*、三島 史人*、伊藤 保之*、新谷 裕和*、西村 博明**
* 原子力技術応用工学科 ** 電気電子工学科
研究目的
福島原発事故に伴う帰還困難区域の早期の解消をめざすこと、また汚染土壌の最終処分場への持ち込み量を減少させることは、福島復興に向けて重要なプロセスである。
帰還困難区域の解消のためには、表土の剥ぎ取り等の除染作業が行われているが、その作業にて集められた土壌は、1600から2000万㎥と膨大になると推定される。
この汚染土壌は全て中間貯蔵施設に運びこまれ、減容化の処理をして最終処分場にて管理・保管される計画である。
一方、最終処分場で収容可能な容量には上限があるため、その減容化は大変に重要なプロセスである。
本学では汚染土壌の減容減少を主要な目的の一つとして研究を進めており、これには管理・保管量の削減の上に、福島での帰還を強力に後押しすることも目的としている。
研究内容
研究しているプロセスの概要は図1に示すものである。計算機で(尾崎)セシウム、ヨウ素などの放射性物質のおよその放出の類型を調べる。
次に各所に拡散した汚染土壌を、遠隔操作等により剥ぎ取り回収する(新谷)。
集めた土を淘汰管(三島)あるいは強力磁場(西嶋)を利用して、大量の未汚染の土壌と少量の高濃度汚染した土壌に分別する。
また実用化に必要な大型の超電導磁石を検討する(伊藤)。
次に高濃度になった汚染土からプラズマを利用して元素を分離し(砂川)、最後は強力中性子源からなる核変換システム(堀池・西村)でそれらを消滅する、と云うプロセスを検討している。
期待される研究成果
土を水に溶かして懸濁液とし、淘汰管という太い管内を上向きに流すと、一定の大きさ以下の粒子を分離収集することができる。
これは小さい粒子は重力よりも水流から受ける抵抗力が勝るため、一定サイズ以下の粒子がオーバーフローした水流に残ることによる。これを淘汰管と呼ぶ。
小型の淘汰管での実験をベースに大型(内径20㎝、長さ~2m)の淘汰管を設計・製作した(図2)。
磁場分離用の超電導磁石の概念は図3に示すもので、室温ボア直径2m、高さ5m、最大経験磁場11.4Tと云う大型強力磁石である。
放射能を消すための中性子源は、液体金属リチウムを利用する強力な高エネルギー中性子束を生成するもので、概念設計を進めている。
研究イメージ
