研究情報
農業活性化に向けた閉鎖型植物工場技術の開発
研究者名
中道 正紀*、中尾 一成*、砂川 武義**
* 電気電子工学科 ** 原子力技術応用工学科
研究目的
現在の閉鎖型植物工場における問題として、植物栽培にかかる電力コストが高い事、計測される栽培環境データが面ではなく点データである事、簡易に育てることが出来るリーフレタス栽培が飽和しており高付加価値の植物栽培検討が必要である事が挙げられる。
これらの中でも特に大きな問題が、栽培環境データが点計測しか出来ないことである。
点計測では栽培環境データと植物成長の関係性抽出が困難となっており、植物工場企業が精密な制御システムによる電力コスト削減や特殊環境下での高付加価値植物の栽培に踏み切ることが出来ずにいる。
本研究では農業活性化に貢献するため、栽培環境データを分布計測出来る技術を開発するとともに、栽培条件が難しい地元伝統野菜の閉鎖型植物工場での栽培を検討する。
研究内容
光ファイバ分布計測技術を用いて、栽培環境データの分布計測を目指している。
センサー部分となる光ファイバは非常に細く、場所を選ばず網目状で設置でき、測定データ処理にてデータの3 次元分布把握が可能である。
研究では、本技術の計測精度を検証するとともに、光ファイバの加工により温度・湿度・風速・栄養分・CO2 等の閉鎖型植物工場における栽培環境データ計測手法を開発する(図1)。
閉鎖型植物工場において利益を出すためには、個々の栽培スペースが小さく、販売時に廃棄する箇所が少ない植物種が好ましい。
そこで、果菜類栽培時に難しいとされている種から苗までの育成を閉鎖型植物工場で行い、伝統野菜等の苗を販売することで利益に繋げることができないかを検討する。
期待される研究成果
光ファイバ分布計測技術について、閉鎖空間の温度計測精度の検証をおこなった。
人工気象器に光ファイバ素線SR15を設置して、20~35[℃]で空間の設定温度を変化させ温度計測を行なった。
結果として、閉鎖空間の温度分布を計測出来るとともに(図2)、検証用に設置した熱電対の温度とほぼ誤差がない温度データを計測することが出来た。
福井県内の様々な地域で伝統野菜として栽培されているナスに着目し、鯖江の吉川丸ナスを育成して種子を取り出す作業をおこなった(図3)。
種子および栽培を通じて得た知見(発芽条件など)により、今後は苗の栽培を行なう。
研究イメージ
