熱中時間

FUTの人たちの最高の
時間をインタビュー
FUTの人たちはなぜ熱中しているのか。熱中するものだけが感じられる最高の時間とは何か、に密着する。

No.97
環境情報学部 経営情報学科3年 応援団吹奏楽部
竹嶋 聡希

theme:全日本アンサンブルコンテスト金賞受賞と、将来の夢

経営情報学科3年の竹嶋さんは、今年3月に開催された「全日本アンサンブルコンテスト」にて8人の代表メンバーの1人として参加し、金賞を受賞した。コロナ禍での練習の苦労や受賞の喜び、竹嶋さんの将来の夢をうかがった。

トロンボーンの魅力


竹嶋さんは、中学一年生の頃から吹奏楽を続けている。たまたま入学した地元の中学校は、福井県内ではよく知られた吹奏楽の強豪校だった。運動への苦手意識をもっていた竹嶋さんは、「おもしろそうだし、自分でも楽しめそう」という気軽な気持ちで入部した。しかし、音楽の経験はまったくなかった。「楽譜は全然読めませんでしたし、リズムの取り方も知らなかったんです。入部してから気付いたんですけど、自分の息を使って演奏する吹奏楽はかなり体力勝負なんですよ」。練習を通じて、少しずつ音楽の知識、演奏の技術や体力を身に着けていったという。「正直、つらいなと思う時期もありましたが、ある時聴きに行ったプロの方の演奏を聞いて、『あんなすごい演奏ができるようになりたい』と感じたのです。目標ができてからは、演奏することが楽しくなっていきましたね」。大学3年生の今、吹奏楽歴は9年となる。
 竹嶋さんが演奏する楽器は「トロンボーン」だ。トランペットやチューバなど、いわゆる「金管楽器」のひとつ。金管楽器では、ピストンと呼ばれるボタンのようなものを指で押すことで音の高低を出すものが多い。一方、トロンボーンは長く伸びた「スライド菅」を、腕を使って伸び縮みさせ、音の高さを変化させる。「スライドを動かして演奏する姿が、とてもかっこよく見えたんですよ」と、選んだ理由を語る。主に低音から中音の音を出すことができる。「この楽器の音って、なんだか柔らかくて優しい感じがして、音色も魅力です。演奏していると、とても心地がいいんです」。合奏では主旋律など重要なパートを演奏することが多いのも、トロンボーンのおもしろさだと竹嶋さんは語る。

コロナ禍であらためて感じた、吹奏楽の楽しさ

福井県内での新型コロナウィルス流行の影響で、福井工業大学の吹奏楽部は2020年4月から3カ月間活動が停止となった。以前のように部員みんなで集まって練習する機会がなくなり、竹嶋さんは消音器をつけて自宅で練習するなど、ひとりで音を出す日々が続いた。活動停止が解除され、久しぶりに合奏したときに、みんなで演奏をすることの楽しさを強く感じたという。「音やリズムを合わせ、みんなで演奏していく。一致団結して“いい音”を出せたときの喜びや達成感が吹奏楽の魅力だと、あらためて実感しましたね」。
 部活動が再開したとはいえ、コロナ以前とでは練習のやり方が大きく変わってしまったという。「みんなで演奏するといっても、演奏者同士で距離を空けて密になり過ぎないようにしていました。他の人の音が聞こえづらかったり、リズムが合わせづらかったりと、やりにくさを感じましたね」。また、換気のために練習中は窓を開けていたため、演奏の音が迷惑だとクレームが入ってしまうこともあったという。「普段とは違う練習環境であった上、大きな目標のひとつだった夏の吹奏楽コンクールが、コロナの影響で中止になるというハプニングもありました。正直、モチベーションを保つのが大変でしたね」。竹嶋さんは、吹奏楽部のもうひとつの目標である「全日本アンサンブルコンテスト」への出場を目標に、なんとかモチベーションを維持し練習に臨んでいたという。アンサンブルとは、オーケストラのような数十人規模で行われるものではなく、比較的少人数の編成で演奏する方式のこと。この全日本アンサンブルコンテストは40年以上に渡って開催されている歴史ある大会だ。大学生をはじめ、中学生、高校生、社会人・一般の部があり、全国の予選を勝ち抜いた団体だけが出場できる。これまで全国大会での演奏経験がない竹嶋さんにとって、中学生の頃からの憧れの舞台のひとつだった。



全日本アンサンブルコンテスト、金賞受賞


全日本アンサンブルコンテストでは、福井工業大学は8人のメンバーを選抜し出場した。トロンボーンのパートで出場できるのは3人。竹嶋さんは演奏技術が認められ、見事トロンボーンのひとりとして代表メンバー入りした。本番で披露するのは、演奏の途中で次々とリズムが変わっていく「変拍子」を取り入れた楽曲だった。これまで取り組んできた中で、トップクラスに難易度の高いものだったという。「コロナ対策など、普段と違う環境の中での練習はとても苦労しましたね。さらに、今年の冬には大雪もありました。しかし、監督やコーチからのサポートもあって、なんとか乗り切ることができたと思っています。大雪の際、道が悪い中でも毎回練習に駆けつけてくれた監督やコーチには、本当に感謝しています」。昨年の春から今年の冬にかけ、予期せぬコロナの影響や大雪を監督や顧問、コーチ、チーム一丸となって乗り越え、本番に向けて練習を積み重ねる日々が続いた。


 3月20日、宮崎県のメディキット県民文化センターで開催された第44回全日本アンサンブルコンテストにて、地方予選を勝ち抜いた10校の中から、福井工業大学は最高賞の金賞に選ばれた。これまで全国大会への出場経験がほとんどなかった福井工業大学吹奏楽部にとって、部の歴史始まって以来の快挙となった。福井県にある大学としても、金賞受賞はこれまでほとんど経験がない栄誉であった。「審査員からの感想を聞く機会はなかったのですが、観客の方々から『いい音が出ていたよ。みんなで合わさったサウンドが、すばらしかった』と言ってもらえたことは、練習が報われた思いでとてもうれしかったですね。例年金賞を獲得している、龍谷大学や神奈川大学などの強豪と一緒に受賞できたことは、福井工業大学の名前が全国に知られる良いきっかけになったのではと思っています」と、受賞のよろこびを語った。

吹奏楽の楽しさを、伝えていきたい


環境情報学部に所属している竹嶋さん。将来は、地元福井の高校で教壇に立ちたいと考えているそうで、現在は教員資格取得に取り組んでいる。大学卒業後も、社会人の団体に入って演奏を続けていきたいと考えている竹嶋さん。「もちろん、吹奏楽部の顧問をやりたいとも思っています。みんなで一致団結して、リズムや音を合わせ、演奏をつくりあげていく喜びや達成感。これまでに感じてきた吹奏楽の楽しさを、生徒たちに伝えていきたいです」。今回、福井工業大学が金賞を受賞したものの、福井から全国大会の常連校はまだ少ない。「福井の吹奏楽のレベルは、もっと上がっていける」と、竹嶋さんは考えている。「顧問として生徒たちを指導し、福井の吹奏楽のレベルアップに貢献していきたいなと考えています」と、抱負を語ってくれた。



学年学科名等は、取材時のものです。