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人工知能研究の最近の展開、COVID-19、AI戦略2022、AIによる科学的発見

2022年3月14日、オンラインシンポジウム『医工連携と産業DX』が行われました。

講演会は福井工業大学AI&IoTセンターの事業の一環で、オンライン開催の呼び掛けに応じた約130人が参加。AI活用による研究の最先端を行く3氏の招待講演を軸に、地域活性化につながる社会改革(医工連携)と地域の産業創造(産業DX)の在り方について探っていきました。

オンライン講演画面
招待講演の3人目は、ソニーコンピュータサイエンス研究所社長で、ソニーだけでなく、日本や世界のAIを先導する北野宏明氏。北野氏は「人工知能研究の最近の展開、COVID-19、AI戦略2022、AIによる科学的発見」というテーマで講演を行いました。

手始めにAIを用いたゲーム開発の歴史を振り返った北野氏。その歴史は「人間に勝つ脳を作ること」を常に目標に進んできたとした上で、囲碁やチェスなど1対1のボードゲームを起点に、近年ではマルチプレーヤーかつフィジカルリアリスティックな領域に展開しているという現況を紹介しました。

例として取りあげたのが、ゲーム機『プレイステーション 4』約1000台の環境で深層強化学習を行ったというAIドライバー『Sophy』のエピソード。レーシングゲーム『グランツーリスモ』での対戦では、世界のトップドライバーに匹敵するドライビング技術を駆使するどころか、人間が実現困難な時間単位でパラメータを調整する走りを見せたことなどを述べました。
オンライン講演画面
その上で、私たちの生活に密着したAIシミュレーションの事例として内閣官房「COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクト」の取り組みを解説。新型コロナウイルス感染症に関連して、会食人数による感染リスク、マスクの素材別の感染防止効果、オフィス等におけるパーティションの有効性など、ニュースなどでもよく目にする図説のメカニズムについて詳説しました。

北野氏は同プロジェクトを通じて実感したこととして、わが国のカントリーリスクの高さを指摘しました。有事体制が事実上ないのが問題であるとし、これまでの閉塞を破る起爆剤としてAIを活用すべきと強調。南海トラフ地震のような大規模災害への備えを、復興プログラムも含めて早急に検討すべきであると警鐘を鳴らしました。
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