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ムーンショット型研究開発事業:誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現

2022年3月14日、オンラインシンポジウム『医工連携と産業DX』が行われました。

講演会は福井工業大学AI&IoTセンターの事業の一環で、オンライン開催の呼び掛けに応じた約130人が参加。AI活用による研究の最先端を行く3氏の招待講演を軸に、地域活性化につながる社会改革(医工連携)と地域の産業創造(産業DX)の在り方について探っていきました。

オンライン講演画面
招待講演の1人目は、ロボット学の世界的第一人者で大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーでもある石黒浩氏。石黒氏は「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」をテーマに講演を行いました。

約20年前から人間型ロボット(アンドロイド)の研究に取り組む石黒氏は、将来の人口減少社会を見据え、「ホスピタリティ維持のためには人間の生活を支えるロボットやアバターの存在が重要」と強調。人間にとって理想的なインターフェースは人間であり、人間を取り巻くロボットや情報メディアは部分的であっても人間らしくあるべきと述べました。

その上で、これまでの遠隔操作ロボット(アバター)や自律対話ロボットの研究やその成果を解説。研究施設の受付業務を主目的に開発されたというアンドロイド『ERICA』の取り組みでは、約10台のコンピュータがERICAを制御していることなどを紹介し、「状況や目的を限定すれば、実用的な対話能力を伴うアンドロイドが実現できる段階にある」としました。

後半では、内閣府が掲げる『ムーンショット型研究開発制度』を引き合いに、2050年までの実現を目指すアバター共生社会について説明。個人が多数のサイバネティックアバター(CA)を使いこなして身体・認知・知能などを拡張すれば、物理的な距離や空間にとらわれず、仕事や学習など人間の活動範囲が飛躍的に広がる可能性を示唆しました。

また、保育所、アミューズメントパーク、パン販売店などでのアバター活用の実証実験も紹介しました。コロナ下で外部の訪問者を受け入れづらい環境でも、施設・店舗内にあるマスコット型ロボットなどを介して、外部の人たちに接客や教育など自分存在を仮想化して働く場を提供できる可能性が出てきます。このアバターのメリットを仮想化実世界と呼んでいます。
オンライン講演画面
石黒氏は最後に「人間のようなロボットやアバターを作ることは、人間について理解し自分たちの存在を見直す契機になる」と話し、2025年の大阪・関西万博でその将来像を披露したいとまとめました。
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