研究情報

下水汚泥焼却灰からのリン回収技術の開発

研究者

高島正信(代表者、建築土木工学科 教授)

研究内容

 リンは植物の三大栄養素の一つであるが、枯渇が懸念されているうえ、わが国は海外から100%輸入している。下水汚泥焼却灰は10%近くリンを含有しているのにもかかわらず、ほとんどは埋め立て処分されているのが現状である。本研究では、従来法の欠点を克服するよう改良した次の2種類の下水汚泥焼却灰からのリン回収法を考案し、得られるリン化合物の回収率や純度の向上を図るものである。
1) 焼却灰に酸液を加えてリン酸を溶出させ、これに鉄を加えてリン酸鉄として回収する「酸溶出法」において、有害重金属の含有量を減らし純度を高めるため、錯体形成物質の適用を検討する。
2) 焼却灰にアルカリ液を加えてリン酸を溶出させ、これにカルシウムを加えてリン酸カルシウムとして回収する「アルカリ溶出法」において、アルカリ溶出前にCO2ガスを吹き込んで回収率を高める方法を検討する。
 岐阜市や鳥取市で稼働している従来のアルカリ溶出法では、得られるリン化合物の純度は高いものの回収率は50~60%程度である。本研究で検討する回収法では、回収率として約80%以上、純度として約90%以上を目指す。


下水汚泥焼却灰から回収したリン酸鉄